Project/Area Number |
08J10370
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
土木材料・力学一般
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 猛史 The University of Tokyo, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 過冷却液体 / 結晶化 / 動的不均一性 / 計算機実験 / コロイド / ガラス転移 / コロイドガラス |
Research Abstract |
前年度までに、研究計画に関しては、概ね達成できたので、今年度前半においては、これまで、2次元多分散粒子系で得られた、動的不均一性と結晶的中距離秩序の関係が、3次元系においても確認できるかについて調べた。本系で実現される過冷却液体の構造を詳しく解析すべく、球面調和関数から特徴付けられるボンド配向秩序変数を各粒子に関して計算した。すると、過冷却液体における秩序変数分布に不均一が生じており、中距離秩序が存在していることを確認した。さらに、この中距離秩序は、HCP(六方最密充填)的な構造をとっており、これより、3次元系においても、結晶的中距離秩序が存在していることがわかった。また、この結晶的中距離秩序は、その他の粒子に比べて動きにくく、結晶的中距離秩序と動的不均一性の間に相関があり、2次元系のみならず3次元系においても、動的不均一性の起源の一つが結晶的中距離秩序であることを明らかにした。一方、本年度の後半においては、3次元多分散(単分散)粒子系の過冷却液体が結晶化の素過程について調べた。過冷却液体は、結晶核が出来る前は、結晶的中距離秩序が生成消滅を繰り返しながら存在することは、上記において発見したものと同様であるが、結晶核は必ず、結晶的中距離秩序の中から、生成することを新たに見出した。このことは、近年注目されている古典核生成理論と実際の実験の結果との不整合と関係していると考えられる。古典論での核生成頻度は、均一な液体とバルクの結晶とのエネルギーバリアから計算されるが、実際の系で、結晶核が中距離秩序の中から発現するとしたら、考えるべきエネルギーバリアーは、中距離秩序とバルクの結晶であり、上記の古典論との描像からの不整合を生じることの原因が、このことに起因することが示唆される。以上の様に、結晶的中距離秩序は、ガラスの動的不均一性のみならず、結晶化にも関係していることがわかった。
|