Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
私の所属する研究室では,「マイコプラズマ滑走運動のメカニズム」について研究を行っている.本年度は,最も速く滑走運動を行うMycoplasma mobile,ヒトの病原菌Mycoplasma pneumoniaeを用いて,以下のことを明らかにした. (1)M.mobileを界面活性剤Tween 60の処理により菌体形状の変化を誘導し,菌体長が0.8μmから2.0μmに伸長することを示した.この,のびた菌体の滑走運動を解析し,同じ線上に並んでいる"あし"が必ずしも協同的には動いていないことが示唆された. (2)M.mobileの滑走装置を、膜に埋め込まれたままの状態で単離した.この画分にATPを加えると,バラバラになった菌体の破片が,ガラス表面上で運動した.これを用いて,ATPと結合・滑走の関係を明らかにし,滑走運動の作業仮説を新しくした. (3)M.pneumoniaeの滑走運動をになう細胞骨格構造を調べるために,菌体を界面活性剤で処理し,とけ残った構造を電子顕微鏡で観察した.ネガティブ染色法の改良と画像の平均化により,高解像度な細胞骨格像を以前よりも簡単に得ることができた.さらに,すでにあるYFP融合株を利用して,細胞骨格構成タンパク質を網羅的に特定した. (4)M.pneumoniaeは,菌体表面の"あし"を用いて,滑走運動をおこなう.本研究では,170kDaのあしのタンパク質P1 adhesinの精製をおこなった.そして,部分分解とアミノ酸配列の比較により3つのドメインに分かれること,電子顕微鏡観察により丸い分子形状を持つことを示し,タンパク質の分子モデルを提案した.このタンパク質は,シアル酸との結合能を持つ可能性があり,また抗原性変化のタンパク質としても知られており,マイコプラズマ肺炎の病原性の理解につながることが期待される.
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