乳児の音声知覚と音声生成を促す心的表象に関する発達脳科学研究
Project/Area Number |
08J11017
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical education
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保前 文高 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 音声知覚 / 近赤外光トポグラフィー / 言語発達 / 短期記憶 / 聴覚野 / 乳児 / 脳機能イメージング / 表象 |
Research Abstract |
本研究では、乳児がどのような音に対して短期的な心的表象を持つことができるのかを明らかにするということを目的の一つとしていた。乳児の大脳皮質における聴覚情報処理を考えた場合に、聴音に関わる領域と、聴覚情報の自動的な記憶・保持に関わる領域を分離して同定することが重要な手がかりとなる。音の列からまとまりを作るという処理に焦点を当て、静睡眠時の生後3ヶ月齢と6ヶ月齢の乳児に、音階をなす音が(1)12音ずつ連なる曲、(2)4音ずつ連なる曲、(3)ばらばらな音の連なりの3通りの曲を提示し、皮質活動を近赤外光トポグラフィーにより計測した。本年度はデータの解析を中心に行った結果、両群ともに左右両半球の聴覚野周辺ではどの曲に対しても有意な活動を示していることが明らかとなった。これに対し、3ヶ月齢群では、右半球側頭頭頂領域かばらばらな音の連なりに対して、また、6ヶ月齢群では右半球側頭頭頂領域と右半球前頭前野が4音ずつ音階をなす音の連なりに対して大きい活動を示していた。すなわち、いずれの群においても聴覚刺激に依存する、もしくは依存しない応答を示すという機能分化があることを明らかにしたものである。特に刺激音が音程の変化の時間的なスケールを変えただけのものとなっていることから、音程情報をある程度の時間幅の間で処理をするという、受容から知覚へという構造が乳児期初期から機能していることを示唆している。さらに、月齢と共に最も強く活動を示す時間幅が変わり、6ヶ月齢では複数の音の処理を反映している結果を得ており、少なくともこの月齢では、短期的な情報の保持がなされている可能性を挙げることができる。これらの結果は乳児期初期の聴覚情報処理における発達的変化を神経基盤と共に明らかにした点で重要であり、言語獲得のメカニズムを解明する研究へと展開する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)