Project/Area Number |
08J11154
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 雅之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | ローマ / マケドニア / セレウコス朝 / ロドス / ペルガモン / 紀元前200年 / 外交政策 / 第二次マケドニア戦争 / エジプト分割協定 / 紀元前二〇〇年晩秋 |
Research Abstract |
本研究の当該年度の目標は、前年度までの個別的な地域や国家制度に関しての研究を踏まえつつ、紀元前3世紀末以降の古代地中海世界の東西の結合の進展を問い、関連諸文書の分析を進めつつローマを中心とした外交秩序の形成の過程と、その際見られる各国の外交手法を解き明かしていくことにあった。具体的には、前3世紀末より始まる地中海世界の外交環境の大規模な変容を、同時代人がどのように見做し,またそれがどのような内容のものであったのかという点を、ポリュビオスやリウィウスといった古代人の残した史料の分析を、先行研究の成果を活かしつつ進めるだけでなく、近年になって出土したギリシア語碑文についての独自の分析を交えつつ明らかにした。そしてこれにより本研究は、前200年に本格的に始まるローマの東方進出が、長期的な対外政策に則ったものではなく、むしろ前205年のマケドニアへの事実上の敗戦に対する報復を狙うローマが、極めて近視眼的な展望から前202年以降の東方の変動に乗じることで始まったことを示した。そしてこれを踏まえて、そのローマの進出の誘引となった東方の変動が、東方諸国にとってどのように捉えられていたかという点を、前201年のロドスとペルガモンによるマケドニアへの極めて特異な状況下での開戦を検討することから問うた。それにより本研究は、それまで潜在的な競合関係にあった両国が、それぞれ矛盾をはらんだ外交目標を掲げつつも、拡大を続ける大国マケドニアとセレウコス朝への対応から俄かに共同し、両大国の対外政策上の間隙を縫う形で積極的な行動を起こし、その一環として当初から予定していたわけではなかったにせよ、西方のローマを東方世界へと呼び込むことになったということを明らかにし、当時の複雑な外交状況とそれに伴う史料的混乱による先行諸研究の混迷を、新たな史料を交えつつ複合的な視点から整理・収拾することに成功した。
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