Project/Area Number |
08J11442
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural property science
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
神谷 嘉美 Meiji University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 漆 / 紫外線 / 劣化 / 漆工品 / 修復 / 科学分析 / 総合評価 / 揮発成分と不揮発成分 |
Research Abstract |
本研究の目的は受け継がれてきた漆文化財の保存や修復を対象に、目視的評価では理解することが難しい構成材料や製作技法、塗膜の劣化状態の情報の獲得を支援するためのデータベース構築を目指すものである。若手研究Bから引き続く本年度は、調整した各種漆塗膜への紫外線強制劣化試験の影響を複数の黒色漆塗膜で検証する研究と、揮発成分の捕捉という側面から検討する方法について主に試験研究を行った。また擬似的に作製した劣化のモデル塗膜の分析と併行する形で、実際に経年劣化した江戸時代の仏壇片に関する科学分析の調査を継続した。異なる方法により調整された黒色塗膜の検証や経年劣化した試料の分析には、残存光沢率、色彩変化、顕微鏡観察、XPS、FT-IR、Py-GC/MS、断面観察といった複数の手法を組み合わせて実施した。紫外線照射によって生じる揮発成分の追及については、測定装置の改良を考慮に入れながらも前処理方法の検討に着手した。その結果、3種類の黒色塗膜には差が認められ「黒色漆塗膜」とひと括りにして劣化現象を論じきれないという知見を得ることができた。達磨大師像台座の分析結果からは、目視での判断と異なる材質や技法を用ていることが明らかとなった。また紫外線劣化によって揮発する生漆塗膜からの物質を検証するためには、前処理法を行うことで提示されるパターンの精度が向上することが示された。しかし一方で、構造の完全な解明がなされていない漆塗膜の研究においては、前処理を施さない状態での検討も必要不可欠であるとわかった。
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