乳癌細胞の肺転移能を亢進させるFOXC2遺伝子の分子メカニズムの解明と臨床的意義
Project/Area Number |
08J11553
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
彦坂 圭介 浜松医科大学, 医学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | Foxc2 / 乳癌細胞 / 転移 / 上皮-間葉転換 / 平滑筋アクチン |
Research Abstract |
昨年度10T1/2細胞にTGFβを作用させるとFoxc2を介してSMA(smooth muscle actin)が誘導されるという結果を得た。そこで、SMA遺伝子制御領域の同定を行った。マウスSMA遺伝子の上流2kbpをレポーターのLuciferase遺伝子に結合したコンストラクトSMA-Luc2を作成した。10T1/2細胞にSMA-Luc2とFoxc2発現ベクターを共に遺伝子導入すると、Foxc2発現ベクターの量に応じたルシフェラーゼ活性の増加が認められた。そこで、さらに2kbpを断片化したコンストラクトをいくつか作成し、Foxc2発現ベクターと共に遺伝子導入したところ、約1kbp上流の領域がFoxc2発現ベクターに反応することが判明した。その領域内にはFoxc2が結合すると想定される塩基配列が存在していた。そこで、その配列を変異させた遺伝子でレポーター遺伝子を作成してFoxc2発現ベクターと共に遺伝子導入をしたところ、ルシフェラーゼ活性は低値であった。以上の結果から、Foxc2蛋白はSMA遺伝子に直接に結合し活性化していることが明らかになった。 次に、Twist,Snail,Goosecoid,Foxc2遺伝子の上下関係について検討を行った。乳腺上皮細胞にTwist,Snail,Goosecoidを発現した永久株を樹立した。その細胞でFoxc2遺伝子の誘導をmRNAレベルおよび蛋白レベルで観察した。この3遺伝子を発現した細胞株で、Foxc2 mRNAおよびFoxc2蛋白質は増加していた。逆に、Foxc2遺伝子を発現させた細胞株では、Twist,Snail,Goosecoi遺伝子の発現は影響を受けていなかった。また、Foxc2発現細胞とSnail発現細胞について、上皮マーカーのE-cadherin、間質マーカーのFibronactinとN-cadherinの発現について検討した。Snail発現細胞では、E-cadherinが抑制され、Fibronectin,N-cadherinが誘導されていた。一方、Foxc2発現細胞では、Fibronectin,N-cadherinが誘導されていたが、E-cadherinは変化がなかった。以上の結果を総合すると、TGFβが最上位にあり、それによりTwist,Snailが誘導される。Twist,Snailにより上皮マーカーであるE-cadjerinは抑制される。また、Twist,SnailはFoxc2を誘導し、Foxc2は間質マーカーであるFibronectin,N-cadherin,SMAを活性化する。つまり、Foxc2は上皮-間質転換(Epithelial-Mesenchymal Transition)の作用のうち、間質マーカーの誘導に役割を果たし、上皮マーカーの抑制には関わっていないという結論になる。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)