Project/Area Number |
08J11556
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
田中 佳佑 Seijo University, 大学院・文学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | イタリア・ルネサンス / ペトラルカ / 人文主義 / 修辞学 / キケロー / 模倣論 / 文体 |
Research Abstract |
当該年度は昨年度から引続き,ペトラルカを経由して15世紀以降のフィレンツェで完成した古典修辞学復興の相貌につき研究した。受給者は昨年度の成果の中でペトラルカによる古典修辞学研究の意味を古代人との《私秘的交流の締結》に見出したが,その《交流》の具体的様態は,ルネサンス文人にあっては古典風ラテン語文体の模倣として開花した。ペトラルカによれば文体における模範と模倣者との類似性は知性による「知解」の対象であり,それゆえ模倣とは知性的な営み,思索である。そこで次の課題として,当該年度,受給者はペトラルカにおけるvita contemplativaへの志向を検討の対象とした。「思索的な生」を意味するこの概念は,「思索的な」ペトラルカと「実践的な」15世紀以降の官僚文人とを対照的に位置付ける際,先行研究の中で頻繁に言及される。しかし思索は精神に属する以上,外面の行為形態に拘泥するのは無意味である。そこで受給者はペトラルカ,サルターティ,ブルーニの著作を読解し,かれらの修辞学研究の内的動機に着目した。かれらの研鑽は大学教育の制度外で個人的に培われたものであり,専ら類型的構文の範例集積に堕していた当時の講壇修辞学とは異なり,均しく古代人との《私秘的交流》を契機とし目的としていた。またかれらは古典を介した人格の道徳的陶冶を均しく唱導している。これこそが共通の内的動機であり,その具現形態が「思索」であるか政治「実践」であるかを問わず,道徳論的な傾向は一致するのである。ペトラルカは魂の偉大と言葉の尊厳が連続すると説き,サルターティもまた聖書の象徴的言語の解釈に直結するものとして古典修辞研究の倫理的効用を認めている。以上のように,当該年度の研究は史料に即して先行研究に批判を加え,通念と化していたペトラルカと後続世代との「対立」を止揚する解釈・史観を提示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)