現代中国の政軍関係と地方権力(歴史的考察と国際比較の視点からの分析)
Project/Area Number |
09205218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
滝口 太郎 敬愛大学, 国際学部, 助教授 (30226956)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 中国人民解放軍 / 中国共産党 / プロフェッショナリズム / 軍事院校 / 総後勤部 / 人民戦争 |
Research Abstract |
政治機構が未発達な場合、軍隊は政治権力の重要な要素となる。中国共産党においてもこれは例外ではなく、かつては軍隊が地方の政治権力とむすびつき独立的な権力を形成するという現象が現れた。軍の政治介入を防ぐためには「プロフェッショナリズム」の育成が必要であるが、このためには軍指揮官の教育と軍需補給制度の確立の二点が重要となる。従って、本年度は軍事院校と総後勤部を取り上げた。 毛沢東の人民戦争論は、中国共産党の重要な戦略・戦術であるが、基本的には地方権力を作り上げるという性格が強い。また民兵を主体とするためにプロフェッショナリズムの視点も希薄であった。しかしその中で、軍近代化への努力も続けられてきた。1955年の階級制度採用にともない、近代的正規軍を運用できる将校団育成のために、ソ連軍教本を用いる多くの軍事院校が設立された。これらは文革中に破壊されたが、中ソ、中越の武力衝突に敗退後、80年代より再建が進んでいる。総後勤部は、朝鮮戦争の経験から近代的戦闘における補給の重要性が認識され、54年に設置された。これも文革中に冷遇されたが、80年代の軍近代化路線にともなって機能が回復した。 90年代に入り、中国では「ハイテク条件下の人民戦争」という考え方が主流になりつつある。人民戦争の教義は放棄できないものの、ハイテク戦に対応するためには、高度の教育を受けた指揮官、兵士の育成が必要となる。また、科学技術の進歩にともなう戦場範囲の拡大は、強力な補給組織が必要である。したがって、ハイテク戦に適応する中で中国人民解放軍のプロフェッショナリズム化は必然的に進むこととなろう。
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Report
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Research Products
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