水の動的構造と緩和モードの超低振動数ラマン分光による研究
Project/Area Number |
09304037
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 靖徳 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (00013540)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥36,000,000 (Direct Cost: ¥36,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥33,200,000 (Direct Cost: ¥33,200,000)
|
Keywords | 水 / 緩和モード / 動的構造 / 低振動数ラマン散乱 / 過減衰の極限 / 尖鋭化の極限 / 水溶液 / 有機溶媒 / 低振動数 / ラマン分光 / 水の動的構造 / 低振動数ラマン分光 |
Research Abstract |
1.水と同位体水の低振動数ラマンスペクトルの解析から、水分子間の変角振動(50cm^<-1>モード)はH_2O分子全体が動き、水分子間の伸縮振動モード(170cm^<-1>モード)は主に酸素原子が動いていることがわかった。また、水素結合の生成消滅に伴う水分子間の四面体的な構造ゆらぎの緩和が、室温で7cm^<-1>付近に見つかり、この緩和モードを多重二状態遷移模型(MRTモデル)の緩和関数で解析した。 2.四塩化炭素の低振動領域のラマンスペクトルは、Cole-Cole型の緩和モードでは再現できない。多重二状態遷移模型(MRTモデル)に基づいた緩和関数を用いると、この緩和関数だけでスペクトルが見事に再現された。このMRT緩和関数はTHz領域での慣性効果とメモリー効果が実効的に組み入れられているという意味で、緩和モードに対する全く新しいアプローチである。 3.水と電解質水溶液に対してMRTの緩和関数を用いて低振動数ラマンスペクトルを解析した結果、電解質の構造形成イオンと構造破壊イオンの効果が、熱浴側の揺らぎの相関の違いとして得られた。これは、ラマンスペクトルから熱浴側の揺らぎを得たと言う意味で、全く新しい知見である。また、水に対するMRTモデルの解析では、50cm^<-1>の振動モードが室温以上で消失した。この結果は、水の遠赤外吸収の実験結果と一致しており、ラマン散乱におけるTHz領域のダイナミクスに対して、新しい知見を与えるものである。 4.エチレングリコールに対して、超低振動領域までラマンスペクトルの測定と解析の結果、低振動数領域に2個の緩和モードが必要な事が明らかになった。このうち速い緩和モードはoverdamped limitとnarrowing limitが破れていることがわかった。これにより、THz領域での緩和に対する新しい知見を付け加えた。
|
Report
(3 results)
Research Products
(24 results)