Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,ヒトとサルを対象に,顔認識の発達的変化を探る実験を探索的に行った.ヒトを対象にした実験では,生後0ヶ月から10ヶ月まで,親しい既知の集団(家族)の顔にたいする認識の発達的変化を調べる縦断的実験を行った.顔にたいする注視時間の分析の結果,生後1ヶ月の段階で顔にたいする好みが成立し,生後2ヶ月から好みが特定の顔に集中し,生後3ヶ月以降で写真顔にたいする興味が失われていくことが観察された.さらにニホンザルを対象に,サルの保育者集団の顔にたいする認識の発達的変化を調べる縦断的実験を行った.顔にたいする注視時間の分析から,生後1ヶ月の段階で,特定の顔にたいする好みが成立することが示唆された.以上の実験結果から,まず第一段階として顔一般にたいする好みが成立し,次の段階として主たる養育者という特定の顔にたいする好みが成立していくとが示唆された.さらに,親しい既知集団の顔を画像合成し,作成した合成顔にたいする好みを比較することにより,顔にたいする好みがどのような特徴要因によって形成されるのか調べる実験を行った.その結果,顔の好みは,様々な視覚経験の積み重ねによって形成されるプロトタイプ的な好みによって成立するのではなく,視覚経験の高い特定の顔(母親あるいは主たる養育者)の特徴要因が強調された形で成立する可能性が高いことが示唆された.以上の実験結果から,発達初期の視覚経験が親しい顔の認識発達に果たす影響について議論を行った.
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