ローマ帝政初期におけるイタリア自治都市の社会と経済
Project/Area Number |
09710274
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤澤 明寛 早稲田大, 文学部, 助手 (00287939)
|
Project Period (FY) |
1997 – 1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1998: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 古代ローマ / 都市経済 / 都市参事会員 / ラテン碑文 / 施与行為 / 被解放自由人 / 食糧供給 / 自治都市 |
Research Abstract |
ローマ帝政期における都市ローマの住民に対する食糧供給は、皇帝によって特別に配慮されていたことから、比較的に安定していた。一方、都市ローマ以外のイタリア半島に数多く存在していた自治都市は、行政的、財政的に中央政府から独立していたことから、食糧供給に対する配慮も各自治都市が独自に行っていた。しかし、各自治都市が「配慮」を行う実行者とはならず、富裕な市民による「施与」行為に大きく依存していた。一般的には施与者は都市の官職選挙に立候補しており、支持という「見返り」を期待して施与を行っている。しかし、政治的「見返り」以外の見返りを期待して施与を行った者たちも存在した。蒐集したラテン碑文史料から分かったことは、彼らは元奴隷である被解放自由人であるということである。彼らは帝政期においては経済的に豊かであったが、社会的信用がなく、常に「疑い」の対象であったことから、政治活動から除外されていた。すなわち、彼らにとって施与による政治的「見返り」は実際的に意義がなかったであろうと考えられる。ラテン碑文史料を分析した結果、さらにその者たちの多くに「都市参事会員身分標章」が賦与されていたことも分かった。これは身分標章のみの賦与であり、都市の政治的指導者たちの集団である都市参事会員に実際に就任するというものではなく、外見的に「都市参事会委員」と同等にするというものである。すなわち、自治都市における食糧確保の手段として、身分標章が何らかの役割を果たしていたであろうことが分かった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)