Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
高分子被覆金属材料の耐食性に及ぼす好気性微生物の影響を調べるために,電気化学的手法による解析をおこなった.電子部品などに広くに用いられているポリイミド(BPDA/ODA系)をCr基板上にスピンコートによって成膜し(厚さ約2.5μm)電気化測定セルを作製した.耐食性が著しく低下したポリイミド被覆金属材料表面から採取・培養したイノキュラム(Aspergillus versicolorとChaetomium sp.)を接種したNaCl溶液を試験溶液(電解液)として定温培養をおこない,長期にわたり電気化学インピーダンススペクトロスコピー(EIS)測定により被膜抵抗および被膜容量の変化,下地金属の腐食反応の検出をおこなった.培養直後のポリイミド膜の膜抵抗はいずれも10^<11>Ω・cm^2と非常に高い値であった.滅菌対照溶液中では全ての測定セルにおいて,測定開始1年近く経過後でも高い膜抵抗を保ったままであった(現在も継続中).一方,接種溶液中では約80日程で62.5%の試料の膜抵抗が2〜5桁減少し,その中のいくつかの試料では下地金属の腐食発生が示唆された.これらの試料では顕微鏡観察の結果,ポリイミド表面に微生物が付着・成長しているのが確認できた.以上の結果より,水と微生物の存在によりポリイミド膜の劣化が促進され,水の浸透を容易にし下地金属の腐食発生が起こりやすくなると思われる.さらに電子部品の動作中は電界が存在するため,こうした劣化箇所が起点となってWaterTreeが形成されることも考えられる.従って,水と微生物の存在する環境中でVLSIなどの電子部品を使用する場合,微生物によるポリイミド膜の劣化に伴いWater Tree形成および配線パターンの腐食が促進されることにより安定動作が脅かされる可能性があり,微生物劣化に対する対策が必要と思われる.
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