Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
血管内皮細胞および平滑筋細胞にエストロゲン受容体が存在することが明らかにされ,エストロゲンの血管への直接作用が注目されている.一方,動脈硬化と同様に閉経後に増加する骨粗鬆症とエストロゲン受容体遺伝子多型との関連が報告され,疾患の遺伝的マーカーとしての意義が示唆されている.本研究では,骨粗鬆症との関連が報告されているエストロゲン受容体遺伝子多型と虚血性心疾患との関連を検討した.冠状動脈疾患を有する女性109例および健常女性217例の末梢血から抽出されたDNAについて,エストロゲン受容体遺伝子のイントロン1にある多型性部位(Pvu II site,Xba I site)を含む部位をPCR法で増幅し,制限酵素Pvu II,Xba Iを用いたRFLP解析を行った.エストロゲン受容体遺伝子は,Pvu II切断部位(P2),Xba I切断部位(X2)の有無によりそれぞれ3型に分類され,P1/P1,X2/X2が低骨密度に関連すると報告されている.P1/P1の冠状動脈疾患例,健常例における発現頻度はそれぞれ25%,29%(P=NS)であり,2群における発現頻度は同様であった.さらに,一部の症例(n=27)において,Xba I遺伝子多型に関しても検討したが,冠状動脈疾患例,健常例における発現頻度に明らかな差違は認められなかった.これらの結果は,エストロゲン受容体遺伝子変異と冠状動脈疾患との関連について否定的な最近の報告と一致する結果であった. 最近,古典的エストロゲン受容体(ER α)とは異なるβエストロゲン受容体(ER β)が同定され,さらに,ER αノックアウトマウスの動脈硬化モデルにおけるエストロゲンの血管内膜肥厚抑制作用が示された.これらの知見は,エストロゲンの抗動脈硬化作用が,本研究で検討したERαではなく,他の受容体を介する作用である可能性が示唆される.今後,遺伝子多型の同定を含めたER βについての検討を予定している.
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