Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
平成10年度はメサンギウム増殖性腎炎の代表であるIgA腎症と紫斑病性腎炎の症例数を増やし,PDGF-AA,PDGF-BB,胎児型ミオシン(SMemb)について酵素抗体法で免疫染色を行った.紫斑病性腎炎は7症例8検体,IgA腎症は27症例30検体である. 紫斑病性腎炎8検体のうち発症6ヶ月以内に行った腎生検組織5検体のうち3検体でメサンギウム細胞内にPDGF-BB蛋白が発現されていた.IgA腎症30検体のうち発症2年以内に行った腎生検組織24検体のうち18検体でメサンギウム細胞内にPDGF-BB蛋白が発現されていた.一方,発症2年以上で行われた腎生検組織6検体ではメサンギウム細胞におけるPDGF-BBの発現はみられず,急性期紫斑病性腎炎とIgA腎症の初期のメサンギウム障害にPDGFが関与していることが示唆された.PDGF-AAに関しては,PDGF-BBと同様の染色傾向を示したが,PDGF-BBと比してその発現は弱かった.また,胎児型ミオシン(SMemb)については発症2年以内に行われたIgA腎症の腎生検組織24検体中4検体,2年以上で行われたIgA腎症の腎生検組織6検体中2検体にSMembの発現がメサンギウム細胞内にみられた.27症例30検体のうち,ステロイド療法を行い尿所見の改善した2症例については,PDGF-BBと胎児型ミオシン(SMemb)の発現は再腎生検組織では消失していた. 以上の結果,実験腎炎(抗Thy-1腎炎)モデルにおけるPDGF-BBの発現と同様にヒトIgA腎症においても同様のメサンギウム障害が存在し,糸球体炎症の改善とともにPDGFならびに胎児型ミオシン(SMemb)の発現は低下すると思われた.
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