Project/Area Number |
09770651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
箕輪 留以 奈良県立医大, 医学部, 助手 (00244707)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1997: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | Hyper-IgD Syndrome |
Research Abstract |
当科で保存している患者血清約240検体について、抗ヒトIgDヤギ血清を用いた免疫拡散法によりIgD濃度を測定したところ、血清IgD濃度の高値を認めたのは12例であった(膠原病6例/135例、皮膚血管炎3例/15例、水萢症0/11例、皮膚悪性腫瘍0/8例、その他3例/45例)。さらに最近2年間に当院の小児科を受診した10歳以下の患者の保存血清約400検体についても同様に血清IgD濃度を測定し、29例の高値例を認めた(感染症12例、腎疾患7例、けいれん3例、血液疾患2例、嘔吐2例、川崎病1例、喘息1例)。しかし、これらのうちIgDが2回以上測定可能でかつ連続して高値を認めたのは、Erythem elevatum diutinum(EED症例1)1例と皮膚血管炎の1例(症例2)、熱性けいれんの小児例1例(症例3)の合計3例のみであった。初診時の年齢はそれそれ3歳、10歳、5歳であった。症例1では皮疹出現前に発熱や咳などの感冒様症状を認め、特徴的な隆起性紅斑のほかに水泡や粘膜疹を認めた。初診時よりIgDとIgEの高値を認め、DDS投与後皮疹の軽快とともにIgEは正常範囲内に低下したが、20歳の現在もIgDは高値のままであり、1日1錠DDS内服を続けないと皮疹が出現する。症例2は、突発性の発熱、腹痛、頭痛を生じ、四肢などに一部潰瘍を伴う漫潤性紅斑を繰り返している。DDSではあまり効果が見られず、ステロイド内服で経過観察中である。症例3は3歳時に1回目のけいれん発作を認めており、発熱や感染を繰り返しているが、特に皮疹の出現を認めていない。次の第2子は、2歳時に突然死しており、けいれん発作の既往があった。また、症例2と3ではIgA、IgM、IgGは正常範囲内であった。症例3については確診できないが、症例1と2はhyperimmunoglobulinemia D syndrome(HIDS)と診断可能であると考えられる。 症例数が少ないため、HIDSの病態や遺伝子的素因、IgDと他の免疫グロブリンとの関係などについて検討することは現時点ではむずかしい。なお以上の結果は、第97回日本皮膚科学会総会で発表予定である。
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