Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
平成10年度は,正常および顎関節症患者より得られた滑膜組織に分布する細胞の同定を行った. 1, 正常ヒト顎関節滑膜組織の電子顕微鏡学的,免疫組織学的観察:顎関節に症状が無く,他疾患のために顎切除を行った患者より得られた正常滑膜組織の超薄切片にて,滑膜表層細胞層はラットと同様にマクロファージ様細胞(A細胞)と線維芽細胞様細胞(B細胞)により構成されていた。一方、滑膜下層には,線維芽細胞や少数のマクロファージ,形態的に同定できない細胞等が存在し,白血球などの炎症性細胞はほとんど認められなかった。ヒトClassIIMHC抗体を染色するHLA-DRα抗体を用いて滑膜組織を染色したところ,滑膜下層および滑膜下結合組織には多数のHLA-DRα陽性細胞が平均的に分布していた。 2, 顎関節症患者の顎関節滑膜組織の観察:顎関節内障で骨変化が進行した症例に対し,関節円板切除術を施行して得られた組織を観察した。滑膜表層細胞層は消失し,わずかに細胞膜および核,細胞内小器官が変性した滑膜表層細胞と思われる細胞が認められた。また,円板後部結合組織には著明な線維化が認められ,HLA-DRα陽性細胞が多数認められた。その分布は血管が増生している部位では著明で,密に線維化した部位では比較的少なかった。電子顕微鏡学的に,これらの陽性細胞中に,滑膜細胞は認められなかった。 3, 顎関節症の進行による滑膜組織の細胞構成の変化:今回,抗原提示機能を有する細胞が,顎関節症状の進行した患者で増加しており,その分布から,増生した血管より遊走して滑膜炎の免疫応答に重要な役割を果たす可能性がうかがわれた。しかしながら,進行した顎関節症患者の滑膜組織においても,リンパ球浸潤はほとんど認めらなかった。
|