Project/Area Number |
09F09045
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AGUSTIN Jimenez-Aquino 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
JIMENEZ-AQUINO Agustin 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 触媒 / アルカリ土類金属 / アリル化反応 / ニッケル / ホウ素 / 不斉合成反応 / エポキシド / インジウム |
Research Abstract |
医薬品等に含まれる生理活性物質は複雑な構造を有することが多く、これらの分子を効率的かつ高立体選択的に構築する手法の開発は、有機合成化学において非常に重要な研究分野である。この中でも、有機金属化合物を駆使する炭素-炭素結合生成反応は分子の基本骨格を構築する上で無くてはならない手法である。一方で、昨今の環境問題に対する世界的な関心の高まりから、より環境に優しい化学の発展が望まれており、有機合成化学においてもより有害な廃棄物を出さない合成手法が強く望まれている。そこで本研究では、アルカリ土類金属等の地球上に豊富に存在し有害性の低い金属元素を触媒として用いる効率的有機合成反応の開発を指向して研究を行っている。本年度は、アルカリ土類金属を活用するアリルアルコールのアリル位置換反応の開発を行っている途中に見いだした、ニッケル触媒を用いるアリル位アリル化反応について重点的に検討を行った。アリルホウ酸エステルによるアリルアルコールのアリル位置換反応は、副生成物として毒性の低いホウ酸誘導体のみを生成することから、環境にやさしい反応であるといえる。検討の結果、この反応では直線型のアリルアルコールの他にも、枝分かれ型のアリルアルコールも基質として用いることができ、様々な基質から直線型の生成物が高選択的に得られることがわかった。これらの結果は、本手法が直線型1,5ジエンを効率的に合成する有用な方法であることを示唆している。さらに、反応の有用性の拡大を目指して、ボランの隣接位炭素上にシリル基を有するアリルホウ素を用いる反応の検討を行った。この基質を用いた反応での生成物は、末端にシリル基を有する1,5ジエンを与えることから、その後の誘導における優位性を考えると本反応は非常に有用な手法になり得る。そこで、この反応剤を用いてアリル化反応の検討を行ったところ、高い収率にて目的とする生成物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、光学活性アルカリ土類金属触媒の開発を通じて環境にやさしい有機合成触媒反応を開発することを目標として研究を行っていたが、その研究の途上に見つかったアリルアルコールのアリルホウ酸エステルによるアリル化反応は、反応後に生成する副生成物が水と毒性の低いホウ素化合物のみであることから、環境にやさしい新しい触媒反応であるといえる。よって、本テーマの当初の予定を超えた新しい研究の展開をすることができ、大きな進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はアルカリ土類金属触媒の開発のみならず、アリルアルコール等を用いる反応開発において、新たな展開が期待できる。今後も継続して研究を行っていく予定である。
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