Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Research Abstract |
MOS半導体デバイスでは,酸化膜と半導体との界面電子状態がデバイス特性の鍵を握っており,界面に起因する欠陥準位の制御は極めて重要な研究課題である.水素は界面準位を終端することが知られている.Geは,Siに比して電子の移動度が大きいためポストSiの次世代デバイス材料として注目されるが,界面準位の有効な処理法が見つかっておらず,高品質の界面が形成できないことが問題となっている.このような背景のもと,本研究では,原子分解能を持つ走査トンネル顕微鏡・分光の手法を用いて,Geの(001)表面の水素終端特性に関する研究を行った.Ge(001)表面に重水素を吸着させ,その後にSTMの観察を行ったところ,表面の広い範囲で2x1再構成構造が観察されるが,その中に周期性の異なるタイプAとタイプBと名付けた2種類の構造が観測された.考察の結果,タイプAは2水素化状態の間に1水素化Ge2量体の存在する構造,タイプBは2つの2水素化状態が隣接した構造となっていると結論した.表面の広い領域で,タイプAとBの出現数を数えたところ,151と26であることがわかった.第一原理計算を用いてタイプAとタイプBの構造についてエネルギーを評価したところ,タイプAの方がタイプBより1eV程度安定であり,定性的に実験結果と一致することがわかった.走査トンネル分光を用いて,重水素終端表面の電子状態を調べたところ,清浄なGe(001)表面では,ダングリングボンドのπ状態とバックボンドの混合状態に起因する状態が見られるが,水素終端させるとこれらの構造が消失することがわかった.さらに水素吸着により,H吸著では-0.25eVに,D吸着では-0.18eVに新たに状態が現れていることがわかった.これまでの振動分光の研究結果を参考にすると,新たに出現した状態は,Ge-HおよびGe-Dの振動に由来すると考えられる.
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