Research Abstract |
ボイラ,沸騰水型原子炉等の各種沸騰関連機器を設計,運転する際に,限界熱流束が重要な安全基準の一つとなる.限界熱流束は蒸発管内の気液二相流における,気相と液相の幾何学的な配置パターンから形成される流動様式に大きく影響する.特に水平流では,重力と流動方向が異なるため垂直上昇流よりも流動様式は複雑となることに加え,重力による浮力の影響と表面張力のバランスにより間欠流に伴うドライアウトが比較的低クオリティ条件でも発生してしまう危険性がある.このような二相流のダイナミクスに起因する諸問題を解決するために,垂直上昇流を対象にパターンダイナミクスに基づく離散気泡モデルを構築した.これはボイド伝播方程式を基礎式とし,気泡のウェーク効果,気相の圧縮性そして管路との幾何学的整合性に基づいた相再配分を運動量効果として組み込むものである.本離散気泡モデルを水平流に適用する際には,運動量効果となる気相の相対速度および局所圧力損失の変更が必要になる.また,沸騰系に拡張する場合は気相の圧縮性および加速項の考慮が必要になる.以上の変更を適切に行うことで水平等温二相流において,ボイド率の時空間変動特性を得ることができ,気泡流,スラグ流,環状流といった典型的な流動様式に加え,スラグ環状流,波状環状流といった水平流に特有な遷移流れを数値的に実現することができた.また実際に作動流体に二酸化炭素を用いた強制流動沸騰系において,流動観察実験を行うことで水平細管内の流動様式を把握すると伴に,この流動様式の遷移を水平流に拡張した本離散気泡モデルを用いることで上手く再現することができた.そして沸騰水平二相流に適用することでボイド率の時空間変動挙動を得ることができ,沸騰流路中のボイド率が発達する様子を実現することができた.
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