Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究では,アクチンフィラメントの分子構造ダイナミクスを解析することにより,力学-生化学的因子がアクチン細胞骨格の再構築機能に及ぼす影響を解明することを目的としている.本年度は,申請書に記載した年次計画に対して,力学的因子を考慮したアクチンフィラメントの分子挙動に着目し,分子動力学法を用いた挙動解析を行った.張力やトルク等の力学作用が関与するアクチンダイナミクスを理解する上で,フィラメントの引張・ねじり連成挙動特に,引張・ねじり連成剛性を定量的に評価することは重要である.そこで本年度では,アクチンフィラメントの熱ゆらぎに基づいて,統計力学的手法からその引張・ねじり連成剛性を評価することを目的とした.まず,分子動力学法に基づいた数値シミュレーションにより平衡状態におけるアクチンフィラメントの伸びとねじれ角を観測した結果,それらの共分散から引張・ねじり連成挙動が存在することを示した.また,共分散のサンプリング平均値は,解析するサンプリング時間幅にほとんど依存しないことを示した.次に,アクチンフィラメントの伸びとねじれ角の共分散から統計力学的手法を用いて,その引張・ねじり連成剛性を評価した.引張・ねじり連成剛性は,熱ゆらぎを観測するサンプリング時間幅の増大にともない,ある値に収束する傾向が見られた.最も長いサンプリング時間幅16.0nsにおいて,引張・ねじり連成剛性は,7.6×10-11 Nと評価された.本章において評価された引張・ねじり連成剛性を様々な粗視化モデル,および,連続体モデルに組み込むことにより,ネットワーク構造や束構造等のより長大なスケールにおけるアクチンフィラメント構造の力学挙動を解明することが期待される.
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