Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
水系感染症を引き起こす病原性ウイルスの中でも,感染事例が世界中で増加しているヒトノロウイルスは,未だ効率的な培養法が確立されていないことから,添加実験による浄水処理性の評価を行うために必要なウイルス量を確保することが極めて困難であり,培養可能な病原性ウイルスと比べて研究が格段に遅れている.そこで,本研究では,ヒトノロウイルスの物理的な浄水処理性を,遺伝子組換えバキュロウイルスとカイコを用いたタンパク質発現法により発現させたヒトノロウイルス外套タンパク粒子(VLPs)を用いて評価することを目的とした. 本年度は,凝集沈澱-MF膜ろ過処理におけるVLPsの処理性を調べた.凝集沈澱-MF膜ろ過処理においては,凝集剤としてPACIを用いた場合,4log以上のVLPsの除去率が得られた.従って,凝集沈澱-MF膜ろ過処理を用いることにより,米国環境保護局の要求する4logの腸管系ウイルスの除去率を達成し得ることが示唆された.一方,凝集剤としてalumを用いた場合,VLPsの除去率は約3logとなり,PACIを用いた場合の除去率よりも低くなった.従って,凝集沈澱-MF膜ろ過処理においては,PACIを用いることにより,alumを用いる場合に比べて効果的にVLPsを除去できることが分かった.加えて,VLPsと大腸菌ファージQβおよびMS2の処理性を比較したところ,いずれの凝集剤を用いた場合でも,QβおよびMS2の除去率は,VLPsの除去率よりも低くなった.従って,凝集沈澱-MF膜ろ過処理においては,Qβ,MS2共にヒトノロウイルスの安全側の指標と成り得る可能性が示された.
|