Research Abstract |
本年度は,52自由度の空気圧駆動ヒューマノイドロボットを用いて現在までに実現した人間-ロボット間の物理的インタラクションにおいて,人間の物理的な補助を利用する運動学習手法の提案した.この研究では,物理的インタラクション中に人間から加わる力によって変化したロボットの動作を観測し,各運動動状態でその動作を最も良く表現する運動指令を学習する.加えて,学習された運動モデルを利用して次回以降の物理的インタラクションを行うことで,ロボットの動作が変化し,人間の動作の変化も生じるため,物理的インタラクション全体が変化し,結果として次回に学習される運動モデルと今回使用している運動モデルとの間に差が生まれる.提案手法は,各学習過程の中で生じるこの運動モデルの差を利用してロボットの運動を改善する手法である.この物理的インタラクションを利用した運動学習は,従来のロボットの運動学習における新たな視点と言え,研究意義,重要性に富む.国際会議IEEE RO-MAN2009において行った研究発表では,これらの研究意義や重要性,新規性が認められ,CoTeSys Cognitive Human-Robot Interaction Best Paper Awardを受賞した.また,この研究は当初の計画にある柔軟関節ロボットの開発において,注目すべき要素を明らかにし,開発を円滑に行うために不可欠であり,本研究全体においても非常に重要であったと言える.この研究は,追加学習手法の提案で既に協力しているフライベルグ大学(ドイツ)との共同研究として行われ,最終的に追加学習と物理的インタラクション学習を組み合わせ,人間との物理的なやり取りの中からロボットが運動を学習するシステムの構築を目指す上で非常に有意義であったと言える.
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