Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
(1)ゼニゴケを用いた葉緑体ゲノムの母性遺伝異常変異体の選抜昨年度から継続し、葉緑体ゲノムにスペクチノマイシン耐性遺伝子をコードする雄株タグラインを野生型の雌株と交配し、得られた後代をスペクチノマイシン含有選抜培地に生育させ、父方から葉緑体ゲノムが伝達している変異体を探索した。その結果、3ラインの候補株の単離に成功している。現在、単離した候補株において、母性遺伝異常が再現できるか追試を行っている。(2)ゼニゴケにおける葉緑体ゲノムから核ゲノムへの遺伝子転移計測系の確立ベクターを改変する等の試行錯誤を重ねた結果、葉緑体ゲノムに葉緑体ゲノムと核ゲノム双方の形質転換選抜マーカーを導入することに成功した。この形質転換体を作出できたことで、ゼニゴケにおいて葉緑体ゲノムから核ゲノムへどの程度の頻度でDNAの移動が起こるのか計測可能となった。現在、作出した植物体を利用して、各生育ステージ、多様なストレス環境下における葉緑体DNAの核ゲノムへの移行率を測定中である。また、ゼニゴケの葉緑体形質転換系を所属研究室で立ち上げたことによる波及効果として、ゼニゴケ葉緑体NDH複合体破壊株の作出にも成功し、コケ植物におけるNDH複合体の詳細な機能解析が可能となった。(3)ゼニゴケシグマ因子MpSIG1の解析Mpsig1T-DNA挿入変異体の解析から、葉緑体ゲノム上の遺伝子消失(遺伝子転移)がシグマ因子の結合するndhF遺伝子のプロモーター配列の機能分化を促進し、核ゲノムによる葉緑体ゲノム上の遺伝子発現を特異的に制御するメカニズムが明らかとなった。本解析は陸上植物の進化におけるシグマ因子の多様化の一端を明らかにできただけではなく、オルガネラゲノム上の遺伝子が、如何に核ゲノムにコードされている転写因子により遺伝子特異的な転写制御を受けるようになったのか、その詳細に迫った新たな知見である(投稿中)。
All 2012 2011 2010 2009
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (11 results)
Advances in Botanical Research
Volume: (印刷中)
Genes & Genetic Systems
Volume: 85 Pages: 319-326
GENE 454
Pages: 39-46