社会教育における労働と生活の調和に関する研究-過労死問題に取り組む遺族を対象に-
Project/Area Number |
09J00779
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池谷 美衣子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 社会教育 / 過労死 / 遺族 / 変容 |
Research Abstract |
本研究は、労働組合の弱体化後に顕在化してきた労働と生活の調和という新たな社会的課題に対し社会教育研究が取り組んでいくための新たな研究視角を理論的・実証的に提示することを目的するものである。具体的には、企業の外側から問題の可視化に取り組んでいる社会運動として、過労死問題の遺族による取り組みを対象とする。 本年度は、遺族組織の会員に対する悉皆調査の結果分析を中心に行った。調査は全国8か所で結成されている「過労死を考える家族の会」会員計204名を対象に実施し121名から回答を得た。遺族の基本属性・会員年数・労災申請状況および使用者に対する責任追及行動から、会員年数が浅く係争中の遺族が多いため支援側の会員の負担が大きいこと、夫の被災時に遺族に学齢期の子がいる割合が高く遺児支援ないしひとり親世帯による育児支援が課題となること、子を亡くした遺族(親)について晩婚化・非婚化や若年層の雇用問題の深刻化により今後入会段階における遺族(親)の高齢化が予測されることなどが明らかになった。遺族組織への評価では、遺族組織が運動体やセルフヘルプ・グループ、遺族としての「意思表示」の場など多様な役割を内包する一方で、労災認定結果や裁判の「勝敗」で会員間に分断が生じる等の課題が指摘された。また、組織的活動とは別に、一定数の遺族が独自に講演活動・出版活動に取り組んでいることが確認された。 以上より、過労死の遺族組織は会員が「団結」し足並みをそろえて「一枚岩」をめざす従来の労働運動で志向された運動体とは異なる性質を有し、遺族同士をゆるやかに結び付けるプラットホーム(弱い紐帯)としての性質が見られることが指摘された。そのような性質が個々の遺族の主体的行動の発現を促すことになっていると考えられる。本結果については今後論文発表する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)