Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
前年度までに構築した細胞力学モデルを用いて,本年度は,1.アクチンフィラメントの束構造の初期張力や初期配向角を様々に変化させた細胞の引張試験シミュレーション,2.接着基材に単軸伸展ひずみを負荷したときの細胞の変形シミュレーション,を行った.1.では,アクチンフィラメントの束構造の初期張力が大きくなるにしたがって,細胞全体のヤング率が増大することを示した.また,アクチンフィラメントの束構造が,細胞の引張方向に配向しているほど,細胞全体の初期スティフネスは増大することが分かった.以上により,弾性変形に伴う細胞骨格のリモデリングによって変化する細胞骨格の初期状態が,細胞全体の力学的特性に及ぼす影響を明らかにした.2.では,前年度までに構築した細胞力学モデルを基にして,細胞膜とアクチンフィラメントの束構造からなる接着細胞モデルを構築し,接着基材に単軸伸展ひずみを負荷したときの細胞の変形シミュレーションを行った.その結果,接着基材への伸展ひずみ負荷に伴って生じる細胞膜の第一主ひずみの大きさは,細胞の伸展方向に対する細胞の配向方向に依存することを明らかにした.このことから,基材に伸展を与えた際の細胞機能変化を調べるような実験においては,細胞の配向を考慮して解析を行う必要があることが示唆された.以上より,本研究で開発した細胞力学モデルは,細胞の変形と力学的特性および細胞内部構造との物理関係を介して,これまで行われてきた様々な細胞力学実験に対して統合的な解釈を与えるものであり,細胞のリモデリング現象の解明につながるものと考えられる.
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