水圏生態系における有機物の生物地球化学的な循環過程の解明
Project/Area Number |
09J01051
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
槙 洸 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 安定同位体 / 変質 / 無機化 / アミノ酸 / 細菌 / 湖沼 / 海洋 |
Research Abstract |
1.細菌の菌体タンパク質を構成する化合物別アミノ酸の窒素安定同位体比(δ^<15>N)の変動要因 異なる基質条件下(窒素基質としてグルタミン酸、アラニン、アンモニウムを用い、グルコースを加えてC:N比を3-20に調整)で培養した海洋細菌Vibrio harveyi(B-352株)のアミノ酸別δ^<15>N分析を行った。グルタミン酸(C:N=5)を基質とした場合にのみ^<15>Nの濃縮がみられた。このとき、タイプ1アミノ酸(動物プランクトン代謝で^<15>Nが濃縮するアミノ酸)、タイプ2アミノ酸(動物プランクトン代謝で^<15>Nが濃縮しないアミノ酸)ともにδ^<15>N値が上昇した。 2.相模湾と琵琶湖における粒子態有機物(POM)のアミノ酸別δ^<15>Nの鉛直変動 相模湾、および琵琶湖において採水を行い、POMの化合物別アミノ酸のδ^<15>Nを測定した。相模湾では生産層から分解層にかけて、タイプ1アミノ酸のδ^<15>N値は大きく上昇するが,タイプ2アミノ酸のδ^<15>N値はほとんど上昇しないことが示された。琵琶湖では生産層から分解層にかけて、いずれのタイプのアミノ酸もδ^<15>N値が大きく上昇した。 3.POMの変質に対する細菌と動物プランクトンの寄与 相模湾ではタイプ1アミノ酸の^<15>Nの濃縮の程度に対して、タイプ2アミノ酸の^<15>Nの濃縮の程度が小さく、その変動は動物プランクトンの代謝に伴う同位体変動パターンと整合的であった。一方、琵琶湖では、タイプ1、タイプ2アミノ酸ともに同程度の^<15>N濃縮がみられ、その変動は細菌の代謝に伴う^<15>N濃縮パターンに類似していた。以上のことから、相模湾では動物プランクトンが、琵琶湖では細菌が、それぞれPOMの変質・無機化に大きく寄与していることが示唆された。 本研究の成果は、水圏生態系の有機物循環を理解するうえで重要な知見である。
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Report
(1 results)
Research Products
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