縮合多環π共役系を基盤とした空気中でも安定なスピン非局在型の開殻有機分子の開発
Project/Area Number |
09J01185
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 顕 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 安定開殻有機分子 / 縮合多環π共役系 / 非局在型電子スピン構造 / 多段階酸化還元特性 / 磁気的性質 / 光学活性 / 不斉光学効果 / ラセミ化 / 開殻有機分子 / 有機π電子系 / 安定中性ラジカル / スピン非局在化 / キラリティ / 電子スピン共鳴 / フロンティア軌道エネルギー |
Research Abstract |
「研究の目的」「研究実施計画」に記載したように、縮合多環π共役構造を有する空気中でも安定な電子スピン非局在型の開殻有機分子(有機ラジカル)の合成を行い、それらの構造や性質を詳細に調べた。 1)25π電子系を有する平面型ラジカルであるTOT誘導体に関しては、共通の合成中間体を用いる効率的な合成ルートの開発に成功し、各種の電子供与性または電子受容性置換基を導入した誘導体(約10種類)を合成・単離した。いずれの誘導体も空気中で高い安定性を示した。電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定や電気化学的測定、量子化学計算から、不対電子スピン密度の分布様式や酸化還元能を調べたところ、導入した置換基によりこれらの性質が顕著に変化することを見いだした。母骨格であるTOT部位と導入した置換基の間に効果的な電子的相互作用が働いた結果であるといえる。さらにX線結晶構造解析や磁化率測定により、固体状態では、置換基の電子的効果に加えてその立体的効果の寄与により分子間相互作用が変化し、興味深い電子的・光学的・磁気的性質を示すことを明らかにした。 2)非平面π電子系を有するヘリセン型ジアザフェナレニル誘導体については、光学活性な中性ラジカル誘導体を合成し、ESRスペクトル測定や円二色性(CD)スペクトル測定から電子スピン構造や不斉光学効果について調査した。CDスペクトルは明瞭なミラーイメージを示し、合成した2種の中性ラジカルが互いにエナンチオマーであることが実験的に明らかとなった。興味深いことに、室温下、溶液状態でラセミ化はほとんど見られなかった。分子末端に導入したメトキシ基の立体障害に起因していると考えられ、大変重要な知見である。
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Report
(2 results)
Research Products
(37 results)