Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究では,意思決定過程における確率の影響を調べるために,視覚探索課題を用いた実験を行った。視覚探索には,「ある」反応と「ない」反応の2種類の意思決定パターンがあり,「ある」反応が明確なゴール(目標の発見)に基づいて決定される一方で,「ない」反応は探索の終了(あきらめ)に基づいて決定される。この「ない」反応時間は目標の出現頻度に応じて変化し,その頻度が低くなるにつれて短くなる。本研究では,このあきらめの意思決定が確率に応じてどのように最適化されるかを調べた。本研究ではまず,目標の出現頻度にともなう「ない」反応時間の変化が,出現頻度の学習に基づくものであることを証明した。「ない」反応時間の出現頻度による変化には,二つの原因が考えられる。一つは,目標の出現頻度の学習に基づく効果,もう一つは,「ない」反応の繰り返し数による効果である。実験の結果,繰り返し数が増加しても「ない」反応時間は大きく変化せず,出現頻度の効果によってのみ「ない」反応時間が変化することが分かった。この結果からわれわれは,出現頻度に応じた「ない」反応時間の変化が,目標の出現頻度の学習に基づいたものであると結論した。次にわれわれは,目標が2種類ある探索場面で,ヒトがどのような探索終了の意思決定を行うかを調べた。探索終了の意思決定の最適性を検討するために,われわれは行動生態学の最適化理論(最適採餌理論)を援用したモデルを構築した。実験の結果,提案したモデルは「ない」反応時間,Hit率ともに実測値のパターンを良く予測することできた。この結果からわれわれは,目標が2種類ある探索場面において,ヒトは単純に難易度の高い課題や高頻度の課題で「ない」反応時間を決定するわけではなく,それらの情報を加味して「ない」反応時間を決定していると結論した。
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