Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
地殻の応力や歪変化に敏感に反応すると考えられる地下水,中でもマントルや地殻を起源とし,流体に濃集しやすいとされるヘリウムの同位体比を空間的・時間的に測定することは,深部流体の挙動や起源および地殻の変形や地震発生メカニズムの理解に役立つことが期待される. 日本のような島弧におけるヘリウム同位体比は,火山フロントの前弧側では低く,背弧側で高くなるという傾向が一般的に見られる.今年度の研究対象地域とした九州北部地域は,背弧側に別府-島原グラーベンという背弧海盆の延長と思われる地溝帯が陸上に存在する複雑な構造を呈している.この地域において,温泉水を採取し,そのヘリウム同位体比分析を行った.その結果,この地域のヘリウム同位体比分布は,別府-島原グラーベン直上では高く,その南北地域では低いという特徴を示した.これは,背弧側では高いヘリウム同位体比が得られるという他の島弧地域の一般的なヘリウム同位体比の傾向とは異なっている.この九州におけるヘリウム同位体比の特徴は,地下の地震波速度構造などとも良く一致しており,放射性成分などによる効果ではなく,この地域の地下構造を反映していることがわかった. 現在,ヘリウム同位体比の定点連続測定のためのシステム開発を実験室段階で行っている.陸上での時間的に連続なヘリウムの同位体比測定はこれまでに事例がないため,システム完成後は,より時間的に詳細な深部起源流体の挙動を明らかにできることが期待される.
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