Project/Area Number |
09J01410
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井出 匠 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | スロヴァキア近代史 / ナショナリズム / オーストアリア・ハンガリー君主国 / 東中欧近代史 / スロヴァキア・ナショナリズム / オーストアリア=ハンガリー帝国 / ナショナル・アイデンティティ |
Research Abstract |
報告者は、2009年12月~2010年8月および2011年3月にスロヴァキア共和国に滞在し、研究課題であるスロヴァキア人民党成立期の研究に従事した。本年度はとくに、地域レベルでの政治状況の把握に努め、その中でスロヴァキア人民党が民衆層の支持を獲得していくプロセスの分析を試みた。報告者がとりわけ興味深い事例を見出したのは、スロヴァキア地方中央部の都市ルジョムベロクである。同市およびその周辺の町村からスロヴァキア人民党系の新聞に寄せられた通信記事からは、同地の地域社会の抱える様々な問題をめぐって住民同士の対立が生じ、それがやがて国会や県議会、市町村会の選挙等を通じて、特定の政治党派への支持へと結び付いた状況を跡づけることが可能である。そこからさらに、1906年ごろに同市において明白な趨勢となったスロヴァキア人民党への支持拡大が、同党の掲げるナショナリズムへの共感や、あるいはナショナル・アイデンティティの民衆層への浸透といった理由からのみ説明できるものではない、という点が明らかとなった。すなわち、スロヴァキア人民党の伸長を可能にした住民間の政治的対立の深化は、地域行政、市の財政や課税をめぐる問題、自治体役職の選出をめぐる個人的な軋轢や有力者間の派閥闘争、そしてとくに農村部の住民層に大きな影響力を及ぼしていた在地の聖職者の意向など、民衆層の日常生活にとってより身近な争点と深く関わるものであった。こうし見解を得られたことで、スロヴァキア人民党への民衆層の支持をナショナル・アイデンティティの拡大と直接的に結び付けてきた従来的な見方への批判として、同党による地域政治的文脈における利害対立の利用が、支持獲得の大きな要因として見過ごしえないという結論を見出すにいたった。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)