Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度の主な研究成果の一つは,赤堀公史氏(愛媛大)と名和範人氏(大阪大)との共同研究の下で行った,非線形シュレディンガー方程式の解の挙動に関するものである.具体的には,ある変分値を用いて特徴付けられる互いに素な集合を2つ導入し,その一つ集合の元を初期値とした解は散乱し,もう一方の集合の元を初期値とした解は有限又は無限時間で爆発することを示した.そして,その系として,基底状態の不安定性を示すことを出来た.非線形項が単純冪の場合は,既にAkahori-Nawa (preprint)において,類似のことが証明されたが,今回はより一般の非線形項を取り扱うことに成功した. もう一つ研究成果は.Fouad Hadj Selem氏(Reims Univ.)とJun-Cheng Wei氏(Chinese Univ.of Hong Kong)との共同で行った,調和ポテンシャルを伴うソボレフ超臨界の非線形項を持つ楕円型方程式の正値解が存在に関するものである.ソボレフ劣臨界のときは,正値解が一意であり,分岐のダイアグラムの形状もHirose-Ohta(2002, 2007)により,よく知られている.しかし,数値計算によると,ソボレ超臨界のときは,分岐のダイアグラムは劇的に変化することが示唆されている.具体的には,正値解の一意性が成立せず,多数存在することが予想されている.この研究では,この現象に対して,厳密な証明を与えることが目標である.そのため,まず大域的な正値解の分岐が存在することを証明した.次に,正値解の多重性を示すためには,得られた分岐解のMorse indexを計算することが重要である.これを計算するのに,分岐解の極限が,原点で特異性を持つ解であることを示し,その特異解のMorse indexを計算することが出来た.それにより,冪乗型非線形項の指数がある範囲の場合には,分岐のパラメータが大きくなると,分岐解のMorse indexは無限大になることが分かった.これらの成果をまとめて,いくつかの研究集会などで講演し,今後の課題を述べた.
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