Project/Area Number |
09J01627
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biodiversity/Systematics
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田城 文人 北海道大学, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | Julidochromis / Chalinochromis / タンガニイカ湖 / カワスズメ科魚類 / 協同繁殖 / 分類学的研究 / 種間雑種 / 形態的多様性 / 進化 |
Research Abstract |
本研究はタンガニイカ湖産カワスズメ科魚類Julidochromis属(5有効種)とChalinochromis属(2有効種)を対象として、これら2属に存在する分類学的諸問題を根本から再検討することを主な目的として行われた。最終年度は、はじめに各種の模式標本を観察し、その後解析と考察を行った。以下に本研究の結果を要約する。湖の全域から採集された約1000個体を用いて各属で種レベルでの分類学的再検討を試みた結果、Julidochromis属では互いに明瞭に識別可能で、かつ複数地域で同所分布する2有効種(J.ornatusおよびJ.regani)のみを認める見解に至った。一方、Chalinochromis属では同所分布する複数の形態群は認められず、形態が別種レベルで異なる複数の形態群も存在しないことから、本研究では本属魚類は単一種で構成されると判断し、その学名としてC.brichardiが有効であると結論づけた。さらに、これら2属において属レベルの再検討を行った結果、両者間に属レベルに相当する形態的差異は確認されなかったため、Chalinochromis属はJulidochromis属の新参異名であると判断し、3有効種から構成されることになったJulidochromis属の各種を再記載し、新たな種検索表を提示した。また本研究では、J.ornatusとJ.reganiの雑種個体群を2種の分布境界で発見し、それが人為的影響のない自然環境下で、ごく最近もしくは現在進行形で形成されたものであると推定した。さらに、現存3種で認められる形態的多様性をもたらした主要因を考察し、過去に生じた湖の水位の変動に伴う個体群の隔離化、その後の分散に伴う生息環境への適応変化、そして種内・種間交雑を挙げた。また、著しく低い分散能力により、各地域個体群の固有化が現在でも進行中であると推定した。
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