磁場中単一顕微分光による一次元量子細線の励起子微細構造の研究
Project/Area Number |
09J01890
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 隆佑 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(CD2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 光物性 / 励起子構造 / トリオン / 交換相互作用 / ダーク励起子 / 顕微分光 |
Research Abstract |
前年度までに顕微分光を用いて励起子準位の微細構造を実験的に解明したことに続き、本年度はカーボンナノチューブにキャリアドーピングを行うことで励起子の性質の変化について調べた。カーボンナノチューブはキャリア間のクーロン相互作用が非常に大きいため、余剰キャリア(ホール)をドープすることにより、励起子とホールが結びついて3体の束縛状態(荷電励起子・トリオン)を形成することが期待される。本研究では不純物の少ない良質のカーボンナノチューブ試料に対してp型有機物ドーパントを用いることで、トリオンの吸収及び発光の観測に初めて成功した。 これにより、カーボンナノチューブにおけるトリオン束縛エネルギーは約60meVと非常に大きいことが分かった。この値は従来の半導体ナノ構造物質と比較しても一桁程度大きく、室温でも安定にトリオンを形成することを示している。これはカーボンナノチューブにおいてキャリア間のクーロン相互作用が非常に強く働くためである。また他の化合物半導体とは異なり、短距離クーロン相互作用である電子-ホール間の交換相互作用が非常に大きいため、励起子とトリオンのエネルギーが大きく離れていることが分かった。これらの成果はPhysical Review Letters誌で出版されEditors' Suggestionに選出されており、さらにPhysics誌においてViewpointとして紹介される等の高い評価を受けた。 3月末に予定されていた日本物理学会第66回年次大会が震災の影響により中止になったため、旅費が残金として残った。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)