Project/Area Number |
09J02206
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Social psychology
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 剛介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2010
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 社会生態学的アプローチ / 適応 / 自己・他者志向的不安 / 関係流動性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会生態学的アプローチ(e.g.Oishi & Graham, 2010)を用い、これまで示されている社会不安の形態(他者志向的/自己志向的)の文化差(e.g.Dinnel, Kleinknecht, & Tanaka-Matsumi, 2002)の原因を、当該社会の社会生態学的環境要因に対する適応戦略の違いとして捉え、それぞれ別の社会生態学的環境下で適応的機能を持つとの新しい仮説を提出し、それを実証的に検証していくことである。そこで、本研究では社会生態学的要因である関係流動性(既存関係の外に新しく関係形成できる機会の多少)(Yuki et al., 2007)に注目し、低関係流動性社会では既存関係に排斥された際の代替関係が少ないため、他者志向的不安を高く持つことが適応なり、高関係流動性社会ではより有益な対人関係形成を行うことが望ましいので自己志向的不安を高く持つことが適応的なるとの仮説を検証する。 平成22年度は、これまでの研究が大学生対象にしか行われていないことを踏まえ、一般成人を対象として大規模調査を行った。また、社会不安の形態(他者志向的/自己志向的)の文化差が当該社会の社会生態学的環境要因に対する適応戦略の違いで説明されるのであれば、もはや国際間比較だけに研究の対象を絞る必要はない。そこで、上記仮説を関係流動性の異なる日本国内地域比較(都市部vs.農村部)を通じて検討した。調査はインターネット調査会社に委託され、都市部と農村部において各400名上の一般成人を対象に行った。その結果、予測に一貫して、関係流動性は都市部で農村部よりも高く、他者志向的不安は、農村部で都市部よりも高いことが示された。以上の結果は、他者志向的不安は、関係流動性が低く、既存の関係からの排斥コストが大きい社会生態学的環境内で適応価を持つという本研究の理論仮説と一貫するものである。一方、自己志向的不安には地域差は示されなかった。これに関しては、作成した自己志向的不安測定尺度が適切でなかった可能性も考えられ、さらなる検討が必要である。
|