Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
1.北海道大夕張地域・苫前地域に分布する白亜系堆積岩のバイオマーカー分析を行い,芳香族被子植物トリテルペノイドに着目して提案した被子/裸子植生指標(ar-AGI)を用いて古植生復元を試みた。大夕張地域の前期白亜系において,被子植物由来バイオマーカーは蝦夷層群における最古の大型化石記録より古いAptianから微量に検出され,ar-AGI値はLate Albianにかけて増加する。増加傾向は一辺倒ではなく,従来知られていたよりも短い時間スケールでの増減を繰り返す植生変動を読み取ることができた。Albianにおけるar-AGIの増加傾向は,陸上植物起源有機物の炭素同位体比変動から示唆される後背地の湿潤化と同時期に認められる。2.苫前地域の後期白亜系におけるar-AGIのステージレベルでの長期的な変動傾向は,白亜紀を通じた世界的な温暖化傾向の強弱とよく一致していた。ar-AGI値はさらに短い時間スケールでも顕著に変動し,Cenomanian-Turonian境界イベント(CTBE)およびmid-Cenomanianイベントと同時期に極大に達していた。CTBEにおいては全球的に極端な温暖化が進行しており,同時期の蝦夷層群の後背地において示唆される湿潤環境の拡大にともない被子植物植生が拡大したと考えられる。3.太平洋東部赤道域における中新世の堆積物(IODP Exp.320)中には大気輸送に運搬された裸子/被子植物由来のテルペノイドバイオマーカーが含まれ,中新世以降の大気輸送や起源地域の古環境の変化を復元するツールとして応用可能であると結論した。4.植物化石の溶媒抽出残渣の加水分解により得られる長鎖アルコールの分布には顕著な多様性があり,スベリンなどの生体高分子由来の分子部位が保存されている可能性がある。化学分類・続成変化の指標としてさらなる検討が期待される。
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