熱帯産マダラチョウ類の系統分類学的研究に基づく多様性と温暖化による分布拡大の解明
Project/Area Number |
09J02270
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biodiversity/Systematics
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 恵 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | コモンマダラ属Tirumala / 亜種 / 雄交尾器 / PTPs / hairpencils / ルリマダラ属Euploea / 雄性器官 / 微細構造 |
Research Abstract |
コモンマダラ属Tirumalaは種間差が微妙で種の同定が困難なグループといわれている。本研究ではTirumalaの種の明砲な形態的特徴と種間の系統関係を解明するために、配偶行動に不可欠の雄性器官であるヘヤーペンシルhairpencilsやフェロモン運搬粒子pheromone-transfer-particles(PTPs)の微細構造を含む形態情報、および分子情報に基づき比較検討を行った。雄交尾器をはじめ雄性器官の微細構造において新たな形態情報を見いだすとともに、雄性器官の形態進化や属内の系統関係を明らかにした。本年度は、雄性器官の形態形質を分類形質として新たに用い、コモンマダラ属内の亜種、および本属以外のマダラチョウ類各種の比較形態学的研究を行った。まず本属の亜種については、分類学的位置がはっきりしていない亜種tumananaについて調査した。S.Mindanao沖Sarangani島より知られる本亜種は独立種として記載され、その後T.choaspesの亜種あるいはT.limniaceの亜種として研究者により異なる扱いがなされていた。そこで今回新たに雄交尾器やPTPs、hairpencilsの形態を詳細に検討し、雄交尾器形態およびPTPs、hairpencilsの微細構造のすべての形態形質から明らかにT.choaspesの亜種ではないことを認めた。また本属以外のマダラチョウ類については、マダラチョウ亜科全12属のうち9属を検討し、とくにルリマダラEuploeaに注目した。Euploeaは擬態の影響で種間の外観が酷似するため隠蔽種が含まれている可能性が高いといわれており、主に性標と斑紋を基礎としたこれまでの分類を見直す必要があるグループである。EuploeaはTirumalaのようにPTPsを利用しないため、hairpencilsの形態はPTPsを利用しない他属と同様比較的単純で属内の形態差はないと考えられたが、検討した結果hairpencilsの毛の一本一本に多数の孔があり、他属とは全く異なる微細構造をしていた。これは、hairpencilsを拡張させながら巡回するというEuploea特有の求愛行動からも示唆されるように、揮発性物質(性フェロモンなど)を放散するのに適した構造であると考えられる。さらにその表面構造によりEuploeaを少なくとも2群に分けることができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)