Project/Area Number |
09J02300
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Archaeology
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 裕子 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 初期鉄器文化 / 新疆ウイグル自治区 / トルファン / 冶金 / 鉄器化 / 中央ユーラシア / 青銅器文化 / 新彊ウイグル自治区 / 南シベリア / セミレチエ / 内蒙古 |
Research Abstract |
本年度は、中央ユーラシア東部草原乾燥地帯における鉄器の受容と展開を明らかにするため、特に新疆ウイグル自治区を中心に、資料調査、研究成果の発表を行った。まず、昨年度の学会発表をもとに、新疆の鉄器受容について論文を執筆した。夏季には、新疆のトルファンを訪れ、資料調査、遺跡の踏査を行った。それらの結果を踏まえ、12月に日本中国考古学会で、トルファン地域における地域文化の形成と展開という内容で学会発表を行った。 研究の結果により新疆について、鉄器の受容と展開を3段階に分けることができた。受容期:新疆の最古の鉄器は、紀元前1千年紀初頭、銅鉄複合器という形で小型の装身具や工具として出土が始まる。鉄材料の金属学的な分析により、炭素量の少ない錬鉄製の指輪、破片資料の鋼が見つかっている。展開器:紀元前1千年紀中葉、新疆の各地で鉄器の出土量、出土器種が増加する。しかし、その出土傾向は地域差が非常に大きかった。時間の経過に従い利器では青銅器が減少し鉄器の利用が増加する地域や、青銅利器の利用が継続して続き、鉄器の出土が少ない地域などがあった。定着期:漢代併行期には、新疆全域で利器の材料がほぼ鉄器化する。鋳鉄の出土も始まり、鏃など消耗品に鉄が利用される。新疆での鉄器利用が定着したといえる。 また、受容期にみられる錬鉄や鋼は、西アジアに起源する西方由来の冶金技術である。定着期の鋳鉄は中国中原で独自に発展した技術である。新疆は鉄器の受容と展開において、最初ユーラシア西部からの製品、技術の導入が行われ、それを基盤に鉄器の利用を進めつつ、漢代併行期には中原から導入があった様子を明らかにすることができた。 本研究はシルクロードの文化交流に関する事例研究の一つである。また、鉄の利用について、新疆等言う一地域を取り上げ、その交流や展開の具体的様相を明らかすることができた点に意義がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)