Project/Area Number |
09J02425
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田原 彰太郎 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | カント倫理学 / 道徳的判定の手続きとしての定言命法 / 普遍化可能性 / 道徳理論 / 目的自体 / 人間性 / 人格 / 「普遍化可能性」 / R.M.ヘア / 人間性の方式 |
Research Abstract |
本研究計画は、カント倫理学の中心的思想である定言命法を道徳的判定の手続きとして提示することを目的とする。この目的の下、平成22年度は前年度の研究成果を踏まえ、それを引き継ぐ仕方で以下の二つの研究を行った。 (1)前年度の研究成果として、カント倫理学研究における「普遍化可能性」研究はカント外在的な主題設定に基づいていることを明らかにしていたが、その主題の特定に関してはまだ研究の余地が残されていた。本年度の研究では、その主題を道徳理論の構築として捉えることで「普遍化可能性」の根本的理解が可能となり、そのことによってまた、カント自身の学説と「普遍化可能性」研究との差異もより明確化することが可能となった。(2)前年度までの研究において、「普遍化可能性」と定言命法のもうひとつの方式である人間性の方式とは統一的に理解されねばならないことを確認していたが、本年度はこの両者がどのように統一されうるかを主に人間性の方式の解釈を通じて具体的に明らかにすることを試みた。まず通常の解釈の欠点を明らかにしたうえで、現在まで充分に検討されてきたとは言い難い『ファイアーアーベント自然法講義』における目的自体についての論考を積極的に取り入れ、人間性の方式を構成する諸概念(目的自体・人間性.人格)の解釈を通常とは異なる仕方で行った。その結果として、人間性の方式による命令は、「普遍化可能性」研究の解釈対象であるいわゆる根本方式の命令を根拠としてのみ理解可能であるという解釈を行った。本研究計画にとってこの研究が持つ意義は、根本方式を人間性の方式の規範性の根拠として位置づけ、人間性の方式を根本方式のひとつのヴァリアントとして解釈することによって、「普遍化可能性」と「人間性の方式」とを統一的に理解し、通常は細分化されて研究されている定言命法の諸方式をひとつの道徳的判定の手続きとして解釈する具体的基盤を作り上げたことである。
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