光の角運動量によって金属フォトニック結晶に誘起される横方向起電力の解明
Project/Area Number | 09J02466 |
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
畑野 敬史 Tohoku University, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed(Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost : ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
Fiscal Year 2009 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
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Keywords | フォトニック結晶 / 光誘起起電力 / 円偏光 |
Research Abstract |
金属フォトニック結晶スラブを舞台として、幾何学的な構造によって生じる光の運動量の物質への移行について研究している。これまでの研究で、光のもつ並進運動量をサンプルの自由電子に移行させて生じる縦方向光誘起起電力(LPIV)の存在が示されていた。これを受けて申請者は、光の持つ角運動量(円偏光状態と対応)が移行して生じるPIVも存在するはずと考え、円偏光入射時にのみ発生する横方向光起電力(TPIV)を2次元の金属フォトニック結晶スラブにおいて発見した。PIV発生の原理は以下のとおりである。まず光照射によって試料内部に局所電磁場が周期的に励起される。この電磁場は角振動数ωの光の入射に対し、ωで振動している。だが入射光の電場によって誘起された電荷と電流は、電磁場と相互作用するため、試料中の自由電子には光が照射されている間中一方向に駆動する成分を持つ電磁気力が働き、試料両端に起電力が発生することになるのである。ここで、円偏光が構造体に斜入射する場合、たとえ構造の対称性が良くても入射面に対し非対称な内部電場分布が形成される。これが原因となり横方向に起電力が発生することを対称性の議論から導いた。この事実は京都大学西村研究室との共同研究により数値的にも確認され、起電力スペクトルの実験結果を再現できた。 LPIVについてはSPP励起波長において電場が増強されるため、入射面内方向に並進運動量の流れが生じて、ある入射波長に対しPIVが生じることは想像に難くない。しかし、TPIVについてはs、p偏光入射では信号は生じず、円偏光入射時にのみPIVが生じでいる。このような円偏光のセンスに対し特徴的な応答を示すTPIVは物理的に非自明であり、その起源追及は学術的に意義がある。そればかりか、光の偏光情報を起電力信号に変換することができる点において、本現象はナノ光学とエレクトロニクスの懸け橋となる現象と捉えることもでき、新奇な光デバイスの候補としても大変興味深い。
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Report
(1results)
Research Products
(2results)