Project/Area Number |
09J02476
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 祐二 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | プルースト / ドレフュス事件 / 『失われた時を求めて」 / 反ユダヤ主義 / フランス / 『ジャン・サントゥイユ』 |
Research Abstract |
『プルースト作品におけるドレフュス事件の表象』研究の後半部、「ルモワーヌ事件」(1908)から『失われた時を求めて』におけるドレフュス事件の研究を完成した。パリで実施した資料調査に基づき、まず「ミシュレによるルモワーヌ事件」における事件への言及を当時の反ユダヤ主義の文脈に即し分析し、後の『ソドムとゴモラ』以降顕著になるユダヤ人・ドレフュス主義者と同性愛者の類推がこの1908年のテクストにおいて初めて明確な形で現れることを論証した。ここで明らかになったミシュレの歴史記述面での影響を「ある親殺しの感情」(1907)に遡り、プルースト作品における犠牲の主題の変遷を取り出すことで、従来定説となっていたダルリュによるミシュレ注釈の影響とは別にミシュレの自然史と政治史における暴力とパリアの主題がプルーストに及ぼした影響を文献学的に証明した。以上の成果を踏まえ、『ソドムとゴモラ』第一部における事件言及をブーア戦争、第一次大戦、カニバリズムなどの主題との関連を当時の文献を用いて分析し、マール、ラスキンらの美術史家の知られざる影響を文献学的に論証した。さらに『失われた時』におけるドレフュス事件が語られる際常に問題となる万華鏡の隠喩を、アンヌ・アンリの80年代の研究以来定説となっていたショーペンハウアー影響説を排し、プルーストの比喩をボエティウスの『哲学の慰め』からベンヤミンの万華鏡に至るフォルトゥナの車輪の図像の系譜に位置づけた。最後に『失われた時』における恋愛・女性同性愛描写におけるドレフュス事件の記憶の隠喩化を分析し、第一次大戦時のカイヨー事件をはじめとするレオン・ドーデの関連するスパイ事件の影響を文献学的に立証した。以上の研究により、ドレフュス事件が作家に与えた影響がこれまで了解されていたサロン描写のみてにとどまらず、政治、歴史、性愛、美学の広範な領域に及ぶことが解明された。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)