太古代から原生代にかけての堆積岩に記録された酸素発生型光合成微生物の活動変遷史
Project/Area Number |
09J02645
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Geology
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 章純 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 初期原生代 / ケロジェン / 窒素安定同位体比 / 段階燃焼法 / シアノバクテリア / ガンフリント層 / 縞状鉄鉱層 / 炭素安定同位体比 / 太古代 / FE-SEM / TEM / 地球化学 / 地質学 / 安定同位体比 / 酸素発生型光合成微生物 / 微生物活動 |
Research Abstract |
初期原生代(19億年前)のガンフリント層およびローブ層における地質調査を行い、採取試料の岩石学、鉱物学、地球化学的分析を行った。特に有機物の窒素安定同位体比の測定においては段階燃焼法の導入によってコンタミネーションの可能性を除去した信頼できる値を提示し、かつ有機物中に、含有される窒素の同位体比の異なる炭素構造をもつ有機物の不均質が存在することを示すことができた。その結果、初期原生代の海洋環境と微生物活動について、一般に信じられている"浅部が酸化的で深部が強還元的(硫化水素に富む=euxinic)な海洋"における"化学合成細菌(例えば鉄酸化菌)主体"の環境モデルではなく、"浅部が酸化的で深部が非酸化的だがeuxinicではない海洋"における、"シアノバクテリアが生態系の第一次生産者である"モデルを提唱した。この成果はGeochimica et Cosmochimica Actaに投稿準備中である。段階燃焼法を用いた有機物窒素同位体比の測定法の確立、および初期原生代有機物窒素同位体比の不均質性の発見は革新的な成果であり、その成果は別途Geochemical journal投稿され、受理された(Ishida et al.,2012,in press)。目標の1つであった電子顕微鏡による微小領域観察については有機物の透過型電子顕微鏡(TEM)観察の初等技術を習得し、初期原生代の有機物中に結晶度の異なるグラファイトが存在する可能性を見出すことができた。さらに、より古い時代の岩石については、30億年前、27億年前、22億年前の堆積層が産出するカナダ・スペリオル湖周辺地域、25億年前、23億年前の堆積層が産出する南アフリカ・タイムボールヒル地域、クルマン地域での地質調査および岩石試料の採取を完了している。これらの地域について岩相記載や薄片観察など基礎的な分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
"9. 研究実績の概要"に記載した通り、初期原生代の微生物活動・海洋環境理解と新しい分析手法の開発、習熟については当初の計画どおり遂行することができた。しかし、それら地球化学的分析を他時代の試料へ適応し比較するプロセスまでに至ることはできなかった。また、LC/MSによる流体包有物の分析については基礎的な知識は得たものの実際の分析に至ることはできなかった。以上の理由により、研究計画の達成度は(3)であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た知見、手法を新たに太古代(22-30億年前)岩石に応用し、分析比較を進め、当初の目標である光合成微生物の起源に迫りたいと考えている。先述したとおり、該当年代の分析に用いる試料や基礎的な地質調査、薄片の観察に既に着手しており、計画の推進に問題はない。LC/MSによる、堆積岩に残された流体包有物中の水溶性有機物の分析については基礎分析手法から確立する必要があり困難が予想されるが、申請者が今後1年間所属する東北大学はLC/MS/MS装置を所有しており、かつ管理者である古川善博助教からの指導、協力をいただける立場にあり、これに関しても計画の遂行は可能であると考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)