高機能自閉症児の自他認知の発達とその支援―脳波計測による療育の評価―
Project/Area Number |
09J02967
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Special needs education
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 玲子 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 自己知覚 / 事象関連電位 / 高機能自閉症 / 文字認識 / 手書き文字 / 自他の認識 / 事象関連電位(ERP) |
Research Abstract |
高機能自閉症児は自他の知覚に困難を示すことが示唆されているが、そのメカニズムについては統一されて見解がなされていない。したがって、行動指標だけでなく、生理指標についても検討が必要である。そこで、自己・他者関連刺激を観察時に脳波計測を導入し、詳細な情報処理過程を検討することを目標として、成人、定型発達時の子どもを対象として実験を引き続き実施した。具体的には、自己の文字、他者の文字を観察中の脳波を計測し、詳細に分析を行った。自他識別課題遂行中に、自分の文字と他者の文字の間に、刺激呈示後250-350ミリ秒に記録される成分で有意な違いが生じることがわかった。この結果は心的自己に関連するとされるcortical midline structuresだけでなく、身体的自己に関連するとされる右半球のfrontal、parietal regionsでも記録された。また、この結果は自他の識別課題の正確さには関係なかった。さらに課題を言葉の黙読にしても、同様に250-350ミリ秒で自他の間に有意な差が見られた。しかし、刺激が親近性の低い未知の文字に対してはこのよう結果は得られなかった。したがって、蓄積された視覚経験や筆記経験によって、文字に対する比較的早期の自己情報処理が獲得されることが示唆された。 さらに本研究では、書く・読むなどの学習に困難を有する子どもの支援方法の探索として、文字認識のメカニズムを明らかにすることを試みた。具体的には、筆記の産物である手書き文字と印字を観察時の脳波計測を行った。成人を対象とした実験の結果、印字に比べ手書き文字を観察時に、言葉の意味のイメージのしやすさを反映するN400が大きくなった。したがって、手書き文字が文字の意味をより具体的にイメージする一助となっている可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)