現代日本社会における教育機会の不平等の生成・維持メカニズム
Project/Area Number |
09J03065
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology of education
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 翔 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 社会階層 / 教育機会 / 合理的選択理論 / 相対的リスク回避 / 社会移動 / 教育政策 / 日米比較 / 社会構造 / ミクロ・マクロリンク / 学歴メリトクラシー / 社会意識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,教育達成の階級間格差が維持されるメカニズムに対し,日本の事例をもとに理論的・実証的にアプローチすることである.本年度は,教育機会の不平等の生成・維持のメカニズムを明らかにするために,Yale大学のRichard Breenのもとで相対的リスク回避に注目した研究を行った.具体的には,SSM調査などから社会移動の下降回避の見込みを推計し,それが実際の教育選択に影響を与えているのかどうかを分析した.高校生を対象としたデータ分析から,高校選択に対する親の職業や学歴の影響は,下降回避仮説が示唆するパターンと一致することが明らかになった.また教育達成の階級間格差の趨勢の日米比較分析を行い,どのような政策の下で格差が拡大しやすいのかどうかを分析した.その結果,自由放任型の私立大学の拡大に依存した日本の教育拡大政策は格差を拡大する方向に機能したこと,一方で,公立大学の拡大に依存したアメリカの教育拡大政策は格差を縮小する方向に機能したことが明らかになった.またこのような教育機会の不平等の趨勢は,学歴が職業達成に与える影響の趨勢に比べて変化が大きく,反実仮想分析によって世代間社会移動の趨勢,特に地位の継承・再生産ではなく移動の趨勢に対して影響を与えていることが明らかになった.この研究によって教育機会の階級間格差が維持されるメカニズムの一部を相対的リスク回避仮説によって説明が可能であること,そして,このようにして生じた教育機会の不平等は社会の流動性に対して影響を与えていることが明らかになった.
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)