Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究における目的の一つである,「地殻流体の流体量の見積り」のために必要な,石英脈を形成した流体の組成を求めるための手法開発に取り組んだ.流体包有物の塩濃度測定は,加熱冷却装置を用いたマイクロサーモメトリーが主流となっているが,流体包有物の形状による制限,ガス成分を含む場合の相図の複雑さなどの,不便さがあげられる.水のラマンスペクトルは,OH結合の振動モードに起因した形をしめし,塩濃度の変化に対応した規則的なスペクトルの変化をしめす.この変化が塩濃度の指標になることは,以前から知られていたが,流体包有物のホスト鉱物である石英の異方性が,ラマンスペクトルに影響することが指摘ざれており,流体包有物研究に適応するにあたっての課題となっている.そこで本研究では,まず,人工塩水と純水とのラマンスペクトルの差から塩濃度を求める検量線を作成した.次いで,石英の異方性がラマンスペクトルに与える影響を検証するために,石英の自形結晶をC軸に対して垂直方向と平行方向の2方向に切断し作成した両面研磨薄片を人工塩水に被せ,薄片を回転させ,それぞれの角度でスペクトルを測定した.その結果,C軸に垂直な薄片を被せた場合は,薄片を回転させてもスペクトルに違いは生じず,薄片を被せない場合と同様の,即ち真の塩濃度をしめした.これに対して,C軸に平行な薄片を被せた場合は,入射レーザーの偏光方向とC軸方向の角度が90°毎に真の塩濃度を示すが,これより45°回転させた位置で測定した場合は,これよりも低い塩濃度を示した.このことから,入射レーザーの偏光方向と石英のC軸方向が一致するか,または,直交する位置にある場合に,真の塩濃度の測定が可能であることがしめされた.
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