Project/Area Number |
09J03560
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Basic analysis
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 章斗 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | フォック空間 / 場の量子論 / 基底状態 / 赤外発散 |
Research Abstract |
研究課題である、量子論の数学的構造の解析において、解明すべき重要な問題の一つは、赤外発散が如何にして起こるかという事を数学的に理解する事である。本年は、その理解を深める為に、量子的粒子と量子スカラー場の相互作用系の基底状態の存在について調べた。ミンコフスキー時空では、スカラー場の質量がゼロの場合、基底状態は(フォック空間上には)存在しない事が知られている。これは、場の粒子(ボソン)のエネルギーが幾らでも小さくなり得るために起こる現象である。このような現象を赤外発散と呼ぶ。一方、ある種の静的時空では、荒く言うと、ボソンの'質量'が空間に依存して遠方で減衰して見える。この場合は、ミンコフスキー時空同様、ボソンのエネルギーが幾らでも小さくなり得るため、赤外発散が起こり得る。C. Gerardらとの共同研究で、如何なる場合に、赤外発散が起きるか-基底状態が存在するか-を調べ、以下の結果を得た: (1)'質量'の減衰が早いとき、基底状態は非存在。 (2)'質量'の減衰が遅いとき、基底状態は存在。 さらに、'質量'の減衰が距離に逆比例するときが(2)で、それより早いか遅いかで(1)と(2)に分れる。 また、量子的粒子と量子電磁場の基底状態の非存在についての研究も行った。これまでは、赤外発散が起きる場合においてのみ非存在が示されていた。他方、束縛状態の強化の問題では、相互作用の強さを表す結合定数が大きい場合の基底状態の存在がH.Spohnらによって示されており、結合定数が小さい場合には、基底状態が存在しない事が期待されていたが、未解決な問題であった。ここで重要なのは、基底状態が非存在になるのは、結合定数が小さいためであって、赤外発散とは無関係な事である。赤外発散に無関係に非存在を示す手法を開発し、この問題を肯定的に解決する事ができた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)