Project/Area Number |
09J03604
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Polymer chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 俊介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 高分子薄膜太陽電池 / 共役高分子 / フラーレン / 過度吸収分光 / 有機エレクトロニクス / 電荷キャリア / 有機薄膜太陽電池 / 過渡吸収分光法 / 狭バンドギャップ高分子 / 電荷移動 |
Research Abstract |
共役高分子であるpoly(ρ-phenylenevinylene)誘導体(MDMO-PPV)とフラーレン誘導体(PCBM)を用いたブレンド膜のマイクロ秒領域における過渡吸収測定を行った。その結果、フラーレン濃度が高い系では、電荷種として従来考えられてきた共役高分子正孔ポーラロン、フラーレンアニオンに加えて、さらにフラーレンカチオンも生成していることを見出した。すなわち、これまで電子輸送のみを担うと考えられてきたフラーレンが電子のみならず正孔をも輸送していることを分光的に初めて明らかにした。これは有機薄膜太陽電池におけるフラーレンの両極輸送性を実証した初めての例である。 さらに上述のフラーレンカチオンの生成機構を解明するため、イオン化ポテンシャルの異なる種々の共役高分子を用いて、ナノ秒からミリ秒にわたる広時間帯域の過渡吸収分光法により電荷種の生成過程と分率の測定を行った。その結果、フラーレンカチオンは共役高分子からフラーレンへの正孔注入によって生成していることを明らかにした。また、フラーレンカチオンの平衡分率は用いる共役高分子のイオン化ポテンシャルの大きさによって決定されることから、正孔注入はフラーレンHOMO準位の広いバンド幅と大きな縮退度によって起きていることを明らかにした。 この研究では、高分子薄膜太陽電池の光電変換機能において重要な役割を果たしている共役高分子/フラーレン接合界面での電荷の輸送機構を、過渡吸収分光法を駆使して解明してきた。このことは有機薄膜太陽電池では界面の物性が重要な役割を担っていることを示しており、有機トランジスタなどバルク物性が重要な役割を果たす他の有機電子デバイスとは異なる有機薄膜太陽電池のならではの特徴を示すことができた。この研究は高分子薄膜太陽電池の動作素過程に新たな物理的描像を与え、理解を深めるという学術上の成果のみならず、高分子薄膜太陽電池の設計指針を提示するという応用上寄与するところも少なくない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では全時間領域をカバーできる過渡吸収分光装置の構築と、これまでとは異なるイオン化ポテンシャルを持つ共役高分子を用いてフラーレン誘導体の両極輸送性を検討する予定でった。これに対し、本年度は早期に過渡吸収分光装置の構築が終了し、狭バンドギャップ高分子PCPDTBTとフルオレン系共役高分子N-P7の2つの系についてフラーレン誘導体の両極輸送性を検討することができた。また、それに留まらず、理論計算を用いた検討の結果、この両極輸送性が高分子からフラーレンへのホール注入によって起きているという現象論のみならず、ホール注入過程の機構という本質的な議論が構築できた。さらに、この議論は共役高分子-フラーレン型太陽電池だけでなく、有機薄膜太陽電池一般に適用できるものであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は本年度が最終年度である。
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