Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
平成23年度は,研究試料の炭素・酸素同位体組成分析およびΔ^<14>C,測定を行い,そのデータ解析を行なった.以下にその成果を報告する. 炭素・酸素同位体組成分析を行なった結果,^<14>C年代が"現在"の個体と"それ以前(1804cal BP~5cal BP)"の個体とでは,Basiliola lucidaの二次層のδ13Cに系統的な値の違い(それぞれ,2.00‰~2.07‰および3.16‰~3.55‰)がみられた.この約1‰の違いは,サンゴ骨格より復元された海洋Suess効果の程度と調和的である.また,B.lucidaの二次層のδ^<18>Oには水深に依存した値の違いがみられ,水深の違いに伴った水温の違いをよく反映していた.よって,B.lucidaの殻の同位体組成を用いれば,炭素循環の変化に伴う海洋環境の影響や,気候変動に伴う水温変化の程度を定量的かつ正確に見積もることが可能である. 得られた一部の遺骸の年代は約4,000年前~現在と推定された.よって,今回得られたB.lucidaを用いれば,少なくとも過去数千年間に渡る海洋環境の変化を復元できる.また,同遺骸より得られたΔ^<14>Cの結果には年代ごとの違いが認められたが,現段階では分析した個体数が十分とは言い難い.よって,今後,より多くの個体を^<14>C分析し,沖縄沖のΔ^<14>Cの変化を明らかにするとともに,沖縄周辺の樹木年輪より得られたΔ^<14>Cの変化と比較したいと考えている. 以上より,B.lucidaの殻の炭素・酸素同位体組成分析ならびにΔ^<14>C分析を行い,それらのデータを蓄積させることにより,少なくとも過去数千~数百年間にわたる亜熱帯域中層の海洋環境変動を信頼性高く復元でき,過去の地球表層環境に影響を与えたとされている内的要因(火山活動など)および外的要因(太陽活動など)をそれぞれ定量的に評価できると考えられる.
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