宇宙環境で光学異性体の偏りは実現可能か? 円偏光放射光による生命の起源の研究
Project/Area Number | 09J03972 |
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Geochemistry/Astrochemistry
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute(2010) Kobe University(2009) |
Research Fellow |
泉 雄大 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 協力研究員
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed(Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost : ¥1,400,000)
Fiscal Year 2010 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
Fiscal Year 2009 : ¥700,000 (Direct Cost : ¥700,000)
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Keywords | ホモカイラリティー / 生命の起源 / アストロバイオロジー / 自然円二色性 / 円偏光 / ホモキラリティー |
Research Abstract |
通常の化学合成では,アミノ酸はL体とD体がほぼ等量混ざったラセミ体で生成するが,マーチソン隕石などいくつかの隕石の中からL体のアミノ酸がD体よりも多い状態で発見された.本研究では,円偏光をエネルギー源として生じる不斉分解反応によって隕石から発見されたアミノ酸の偏りが物理化学的に説明可能かを確かめることを目的に実験を行った. 紫外線領域の円偏光をエネルギー源とした不斉分解実験は多数報告されてきた一方で,円偏光軟X線の寄与に関しては検討されておらず,物理化学的裏付けは十分ではなかった.そこで,われわれのグループでは,L体とD体の円偏光に対する光吸収断面積の差が不斉分解反応を引き起こす原因であることに着目し,不斉分解反応そのものではなく,円偏光に対する光吸収断面積の差(円二色性)を調べることで不斉分解の結果生じる偏りの大きさを予測することを試みた.軟X線領域の円二色性の測定は,大型放射光施設SPring-8のBL25SUにおいて行った. 測定によって得られた4種類のアミノ酸の円二色性の値を用いて,不斉分解反応の結果生じる偏りを反応速度論に基づく理論式であるKaganの式により計算を行った.その結果,紫外線領域の円偏光によって得られる偏りと同程度の偏りが円偏光軟X線によっても生じ得ることがわかった.このことは,隕石に含まれていたアミノ酸は紫外,軟X線の区別なく,広いエネルギー範囲の円偏光を利用して不斉分解反応を起こし得ることを示しており,隕石から発見されたアミノ酸の偏りの起源を議論するうえで非常に重要なデータである.また,円偏光軟X線によって生じる不斉分解について言及を行ったのは本研究が初めてであり,今後の発展が期待される大きな成果を得ることができた.
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Report
(2results)
Research Products
(10results)