医薬品および環境物質によるトランスポーターを介した肺障害発症機構の解明
Project/Area Number |
09J04443
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 利通 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 肺サーファクタント / トランスポーター / コリン輸送 / CTL / ABCA3 |
Research Abstract |
肺サーファクタントは呼吸機能に必要不可欠な肺胞表面を覆う成分であり、主にPhosphatidylcholine(PC)から構成される。PC量の低下はARDSなどの肺障害機構と密接に関与する。そこで、PCはII型肺胞上皮細胞内でCholineより生合成されることに着目し、Cholineの細胞内取り込み機構について解析を行った。結果、Choline輸送にはCholine Transporter-Like Protein 1(CTL1)、およびCTL2が関わること、更にPC合成において生理的に重要な働きを担うGlucocorticoid ReceptorによってCTLsの遺伝子発現量、およびCholine輸送活性が調整されることを明らかとした。加えて、肺毒性を示す医薬品であるCPT-11やGefitinibはコリン輸送を著しく低下させた。すなわち、医薬品や環境物質が、CTLs遺伝子発現量の減少や、CTLsを介したCholine輸送阻害を促すことが、II型肺胞上皮細胞内のPC量低下による呼吸機能障害に関わる可能性を示唆するに至った。また、合成されたPCは、細胞内でラメラ体と呼ばれる小胞体に蓄積され、肺サーファクタントとして成熟した後にExocytosisによって肺胞腔中に分泌を受ける。ABCA3-KOマウスでは、ラメラ体へのPC蓄積が見られないことで、肺サーファクタントが形成されず出産後直ちに呼吸不全によって死に至ることから、このPC蓄積過程にABCA3が強く関与することが知られている。そこで、ABCA3のPC輸送と肺サーファクタント機能形成の関係に着目し、ABCA3のPC輸送に対する薬物の影響の検討を試みた。まず、ヒトII型肺胞上皮細胞株A549細胞に、ABCA3を過剰発現させることで、PCの細胞外分泌量が顕著に増加を示し、ABCA3活性が細胞外PC分泌と関係することが示された。続いて、ABCA3発現A549細胞の細胞外PC分泌対し、Minocycline, Gefitinib, CPT-11等、多くの肺毒性が報告されている薬物で細胞外PC分泌量が有意に低下した。しかしながら、このPC分泌量変化の現象が、直接にABCA3に対して薬物が影響を与えているかは明らかではない。この点について、今後の更なる検討が求められる。これら検討は、薬物が肺サーファクタント機能を阻害することで、肺毒性が発症する可能性を示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)