Project/Area Number |
09J04757
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柿沼 陽平 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2010: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 中国古代 / 貨幣 / 経済 / 贈与 / 秦漢時代 / 魏晋南北朝 / 三国志 / コミュニケーション・ヒストリー / 貨幣経済 / 魏晉南北朝 / 非農業民 / 盗鋳銭 / 殷周時代 / 税制 / 塩鉄 / 専売制 / 後漢 / 三国 / 晉 |
Research Abstract |
本研究は、申請者のDC1の研究課題「中国古代貨幣史の研究-中国古代の「貨幣」に関する経済人類学的研究-」をふまえ、中国古代における贈与交換のあり方、ひいては貨幣経済と贈与交換の関係を解明することを目的とする。昨年度申請者は、DC1の成果として拙著『中国古代貨幣経済史研究』(汲古書院,2011年)を出版したので、本年度はこの成果をふまえ、いよいよPDの研究課題の総仕上げを行った。 そもそもDC1の研究成果によると、中国古代(とくに殷周時代)には、宝貝の贈与交換をはじめとするさまざまな贈与慣行があった。しかしそれは、春秋時代を経て戦国時代になると、徐々に貨幣経済に取って代わられた。その結果生まれたのが、銭(青銅貨幣)・黄金・布畠(麻織物・絹織物)を主たる貨幣(経済的流通手段)とする多元的な貨幣経済であった。ところが当時の史料を詳細にみると、じつは戦国秦漢貨幣経済の台頭とともに、なぜかそれとは逆行する形で、商人に代表される利己的な人間に対する批判や、あるいは利他的な贈与や人びとの親密な繋がりを重視するような論調も急速に現れる。そこで本研究では、伝世文献のみならず、近年新しく出土した文字資料(青銅器に鋳込まれた銘文や、竹・木製の簡牘に筆写された法制史料など)にも考察を加えた上で、経済人類学・経済社会学の成果をもふまえながら、このような戦国秦漢時代における贈与交換のあり方と、当時の貨幣経済と贈与交換のダイナミズムについて具体的に検討した。成果の大半(論文・学会報告)は中国において中国語で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の課題は、中国魏晋南北朝時代の貨幣経済と贈与交換の関係について具体的に検討することであった。この点は達成できた。ほぼ全ての研究成果も雑誌論文として結実した(重要な論文は全て査読誌)。海外からも一定の評価を頂き、とくに本年度は中国で何度も学会報告を行い、中国語論文を出版した。2011年度に優秀若手海外派遣事業に採択され、中国に1年間滞在し、国外研究者と学術交流できたのも成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、これで魏晋南北朝時代の貨幣経済と贈与交換の関係を大まかに検討できたので、あとは2013年度の研究公開促進費で書籍化(=研究成果の社会への還元)を目指す。また2012年度には南アフリカとドイツで研究報告をすることが決まっており、いよいよDC1とPDの成果を世界的に発信する段階にきたと考える。2012年3月に行った研究報告「コミュニケーション・ヒストリーの試み-交換史観の理論的背景-」も、申請者の歴史理論全体を描写したもので、2012年度中には英語圏での論文出版を目指している。これらを基礎とし、各々によせられた批判をふまえ、じっくりと研究成果の書籍化を目指したい。その上で、隋唐経済史の形成過程の解明にも挑む予定である。走馬楼呉簡
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